ABCテレビ・テレビ朝日系で18日に生放送された漫才頂上決戦『M-1グランプリ2022』は、ウエストランドがキレのいい毒舌漫才で第18代王者に輝いた。そんな今年の熱戦を振り返る。
■優勝候補の呼び声高かった実力派の意地
史上最多の7,261組がエントリーした今年、決勝進出を決めたのは、真空ジェシカ、ダイヤモンド、ヨネダ2000、男性ブランコ、さや香、ウエストランド、キュウ、カベポスター、ロングコートダディ(※エントリー順)。9組のうち5組が初ファイナリストと、新しい時代を感じさせる顔ぶれだ。
さらに審査員も、昨年の大会をもって勇退したオール巨人、上沼恵美子に代わり、博多大吉、山田邦子が登場。5年連続となる松本人志、立川志らく、中川家・礼二、サンドウィッチマン・富澤たけし、ナイツ・塙宣之とともに、ファイナリストにどんなジャッジを下すのかに注目が集まった。
ファーストステージの1番手は、初出場のカベポスター。緻密に張り巡らせた伏線を回収していく巧みな漫才は、富澤に「構成がすばらしい」、大吉にも「悪いところがひとつもない」と高く評価され、トップバッターとしては高得点の634点をマークした。
2番目の真空ジェシカは、昨年に続いての決勝進出。大舞台も2年目とあってか、余裕すら感じさせるネタ運びで彼らならではの奇妙な世界観を演じきり、これには山田も「大爆笑を何回させるのかと(笑)」と大ウケに。こちらも高い647点をもぎとった。
3番手には、早くも敗者復活組が登場。戦いを制して復活を果たしたのは、昨年の準優勝コンビ・オズワルド。決勝の舞台に帰ってきた2人は「これで優勝できたら一番かっこいい」(伊藤俊介)と敗者からの大逆転優勝を狙う気合い十分の漫才を披露し、639点を獲得。2位に滑り込み、優勝候補の大本命との呼び声も高かった実力派の意地を見せつけた。
■博多大吉「とんでもない漫才を見た気がします」
そんなオズワルドに待ったをかけ、今年のバトルを大きく動かしたのが続く3組。4番手のロングコートダディは、2人が交互にボケを繰り出しながら、ネタ中はほぼ“マラソン”をしている斬新なネタを熱演。松本を「この大会にこのネタ放り込んでくるって、いい根性してる(笑)」とうならせる奇策で爆笑をかっさらい、660点を獲得してトップに立った。
5番目のさや香は5年ぶりの決勝。ズレた主張を繰り返す石井に熱血キャラの新山が全力でツッコむパワフルな王道漫才に、礼二は「すばらしいかけ合い漫才」、大吉も「とんでもない漫才を見た気がします」と手放しの賛辞を。ロングコートダディを上回る667点で1位の座を奪取した。
そして、6番目の男性ブランコは、実際にはあり得ないあるモノを“運ぶ”というナンセンスなシチュエーションをコント師ならではの豊かな表現力で怪演。「おもろいな~。こんなん大好きやねん!」と松本を涙が出るほど笑わせて650点を獲得し、3位につけた。
7番手のダイヤモンドは、不思議な日本語を次々と生み出す漫才で「発想はおもしろい」と富澤に評価されたが、616点と点数が伸びず敗退に。
8番目のヨネダ2000は、“餅つき”がなぜかダンサブルに変貌していく奇想天外なネタを披露。「女版ランジャタイを見るような…(笑)。大好きですね」と志らくの心をわしづかみにするも、647点と上位には届かなかった。
そして、9番手のキュウもゆったりとしたテンポと言葉のセンスが持ち味の漫才で勝負したが、620点で惜しくも敗れ去った。