三谷氏がインタビューで、義村について「どの局面においても、何を考えているのかわからない人。人を裏切ってばかりの人」としたうえで「そういう面白さも生かしたい。そこは演じる山本耕史さんの魅力によるところも大きいです」と、山本に対する全幅の信頼感を口にしていた。
山本も三谷大河として3度目の出演となった今回の『鎌倉殿の13人』について「本当に面白かったです」とうなる。
「義村は、手のひらを返していくスピードがすごいし、貪欲でしたたかな描き方をされてきました。脚本を読んでいて、義村が出てきた時に『なるほど。そっちにつくんだ! へえ』と思って、ページをめくったら、違う方についていて『え? どっちにつくんだ?』と、わからなくなる時もありました。だから、僕も最後の最後まで、どっちに転ぶのかはまったくわからなかったです」と心から楽しんだ様子。
最終回で義時と義村がどんなやりとりを繰り広げるのかも気になるところだが、山本はとても感慨深かったと語る。「2人がどういう最後を迎えるんだろう? と思っていましたが、そこは1年半の間、撮影してきた流れのなかで、義時も義村も腑に落ちたシーンになったと思います。そこでは、一瞬、覚悟を持った会話を交わしますが、僕は素敵なシーンになったと思いました」
同シーンについて、山本は「初めて義村と義時の関係性がきっちり見えたようなシーンで終わりますが、とにかく脚本がすばらしくて。義村が自分の思っていることを義時に吐露するような唯一のシーンとなりましたが、難易度的にはすごく高かったです」と撮影を振り返った。
「本気の感じでいくと、三谷さんテイストが出ないし、かといってちょっとコメディに寄せすぎると、それはそれでちょっともったいない感じがしたので、その2つを両立させたいと思ったんです。だから、僕は普段あまりやらないけど、このシーンにかぎっては、自分で自分をどんどん演出していきました。これまでの中で、一番自分で組み立てたシーンになった。だから、最終回は義時の終わり方も含め、非常に面白い幕の閉じ方をしています」と手応えを明かす。
「やはり義村の生き方は、のらりくらりといろんなところに行くのですが、迷いがないというか、真っ直ぐそこに向かっていました。北条や和田、比企と、いわゆるすごい人物から頼られるわけですが、史実上でもわかるとおり、三浦がつく方が生き残っていくわけです。そういう意味では、大河ドラマの中で、義村は真っ直ぐ生き抜いたなというのが率直な感想です」
いよいよ、本日で見納めとなる『鎌倉殿の13人』。小栗と同じく、山本も「納得のいくラスト」と語る最終回をしっかりと見届けたい。
1976年10月31日生まれ、東京都出身。1987年に『レ・ミゼラブル』で舞台デビュー。ドラマ『ひとつ屋根の下』シリーズ(93、97)で注目される。三谷幸喜脚本の大河ドラマでは『新選組!』(04)、『真田丸』(16)のほか、大河ドラマ初の続編となるスペシャルドラマ『新選組!! 土方歳三 最期の一日』(06)にも出演。ドラマの近作は『剣樹抄~光圀公と俺~』(21)、『競争の番人』(22)など。現在『クロサギ』に出演中。映画の近作は『KAPPEI カッペイ』(22)、『シン・ウルトラマン』(22)、『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』(22)、『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』(22)など。
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