大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)がついに、12月18日放送の第48回でラストを迎える。歴史を動かす承久の乱で、小栗旬演じる北条義時の盟友・三浦義村(山本耕史)は果たしてどう動くのか? 三谷幸喜脚本の大河では、『新選組!』(04)の土方歳三、『真田丸』(16)の石田三成に続いて、重要な役どころを演じきった山本が、義村役への想いと共に、小栗と交えた最後のシーンの秘話を明かした。

  • 三浦義村役の山本耕史

平安末期から鎌倉前期において、源平合戦や鎌倉幕府誕生、執権政治に至るまでの権力争いを、北条義時を主人公に描いてきた『鎌倉殿の13人』。容赦ない粛清劇で、数多くの武将たちが散っていくなか、義村は要所要所の局面で勝つ方につき、たくましく生き残ってきた。

「一応、義村なりに悩むというか、吟味はするんですが、常に損得をきっちり考えて動きます。そのなかで、北条に反響を翻すと、大変なことになるだろうということもわかっている。きっと想定外だったのは、和田合戦の時に、巴御前(秋元才加)に言われて起請文を飲まされたことでししょう。あの時は、和田側につくと腹をくくったのに、和田義盛(横田栄司)から『どうせ裏切るなら、ぎりぎりで裏切らないでほしいんだよな』と言われて、結局は裏切った。でもあの時は、うれしい誤算だったかなと」

そんな義村役を心から堪能したという山本。「毎回台本を読んでワクワクしました。親友であろうが、無二の友であろうが、義村にとって出る杭は打つんです」と言いながらも、やはり義時とのパワーバランスにおいては、いろいろと考えていたとであろうと推察する。

「義時はさすがに執権まで行った男だから、絶妙かつギリギリなバランスを保っていたのではないかと。例えば、橋にいて、そっちに傾いて落ちるか、こっちに重心を置いて保つかということは考えていたと思います。そういう義村の勘や判断力のすごさは、台本を読んでいて爽快でした」と笑顔で語る。

「弟(胤義・岸田タツヤ)から『また、兄上は裏切ろうとしているんじゃないんですか?』と言われた時に『お前もずいぶん大人になったな』となぜか褒めるんです。梶原も畠山も比企も全部なくなっても、三浦だけは生き残っているだろと。それは本当に義村らしい言葉ですよね。また、義時に『俺を信じるか信じないかはそっちの勝手だが、俺を信じないとお前は死ぬかもしれないし、生き残るかもしれないけど、俺を信じなければお前は確実に死ぬ』と言い放つんです。それって0か100じゃなくて、0か50だし、なんとも義村らしい考え方だなと」

「勝つと思う方に味方する」という義村の処世術は全話通して一貫していたし、演じる山本もそこを体現すべく、老けメイクを敢えて施さずに演じてきた。

「義時や和田義盛、畠山重忠などは、だんだんひげを蓄えていったりして、風貌が変わっていきますが、義村だけは一貫して何も変えないでいこうと思いました。そういう対比をつけたほうが、お互いに引き立つと思ったので。実際、昔も僕のような童顔の人はいただろうし、ドラマというエンターテイメントの中ということで、僕からそう提案させてもらいましたが、非常に良かったと思っています」