木月:その流れで、「久保さんの冠番組を作ったらやってくれますか?」って聞いたら、「冠番組やる人生とやらない人生だったら、やる人生だ」とおっしゃってくれて。
能町:またその名言が出た(笑)
久保:自分はひな壇に出ていろいろやれるタイプじゃないと思ってたし、能町さんと一緒なのが楽しいからラジオをやれてるというのがあったので、あまり他の番組に出るなんてことは考えてなかったんです。でも、木月さんが足しげくニッポン放送に通って、私たちが当時「魚肉が好き」って話をしてたから、鈴廣のかまぼことかをたくさん持って来てくれて。しかも自分のことを番組のメインで考えてくれていたので、何か不思議でしたよね。「冠番組」って今まで考えたこともなかったことから、「絶対そんなのやりたくない」っていう候補にも挙がってないわけじゃないですか。やりたいことの候補に挙がらないことは、やりたくないことの候補にも挙がらないわけですよ。で、相手がヒャダインさんだと言われてビックリしたんですけど、なんでヒャダインさんだったんですか?
ヒャダイン:ね。それ僕も聞きたい。
木月:漫画の方だから、音楽の方とやるのがいいかなと思ったんです。そのときに、おふたりが一瞬だけ、Twitterでやり取りされてたので、てっきり知り合いだと思って。
ヒャダイン:Twitterで!?
久保:そんなのありましたっけ? なぜ私たちが覚えてないんだろう…。でも私は十五年前くらい、ヒャダインさんがニコニコ動画に出始めた誰なのか分からない頃、夢中で聴きまくってました。だから知ってはいたけれど、自分の人生にクロスしてきて、気が合うなんて思ったことは、まだその頃はなく…。
木月:収録のスタジオが初対面になるというのを、オファー当初は僕も知らなくて。面白いので事前挨拶もしてもらわずに、本当の初対面ドキュメントを収録しちゃおうという、初回収録でした。
能町:で、久保さんの「最近嫌いな芸能人いる?」から始まったんですよね(笑)
ヒャダイン:あれも名言でしたよね。いいジャブをもらいました(笑)
木月:なんか闘いの姿勢でしたよね(笑)
ヒャダイン:僕は「あやまん監督」って答えた記憶がありますけど。
能町:懐かしい(笑)
■“友達を誘う”で3人体制に
――最初は久保さんとヒャダインさんの2人でスタートしたわけですが、3回目から能町さんが加わりました。
久保:2人でもいろいろ話せて良かったんですけど、ヒャダインさんを深く傷つけてしまう可能性をすごく危惧してしまったんです。お互いのことを掘り下げすぎて、ノリで突っ込んでいったら、仲良くなるのと同時に傷つけてしまうような恐怖があって。
ヒャダイン:それ、ずっとおっしゃってましたよね。
木月:ただ、能町さんを誘うのは当時、『オールナイトニッポン』に申し訳ないと思ってたんですよ。それでも、久保さんがぜひという話だったので。
久保:今考えると番組に友達誘うってすごいですよね(笑)。これは漫画の編集さんに言われた話なんですけど、漫画の会話劇って2人でやるより3人でしたほうが、ストーリーが広がって面白くなる場合もあるんです。その感覚があったのと、ヒャダインさんを傷つけてしまう恐怖があったから、3人がいいと。そしたら、絶対能町さんだと思ったんです。
木月:当時はまだ特番ですから、次も久保さんがやってくれるかどうかも分からず、毎回「今日でこの番組は終わりです」みたいなことを言われてたんですけど、「3人ならやります」って。
久保:そうか、これは私が望んだ形だったのか…。
木月:特番4回目で、久保さんと能町さんの沖縄旅です。
久保:沖縄の北に行ったんだよね。
ヒャダイン:僕がスタジオ受けをして。
能町:だから、このときはラジオとテレビでレギュラーをやってたってことですよね。すごいですね。
ヒャダイン:働いてましたねー。
久保:働いてた。47歳になった今振り返ると、30代って本当に頑張れるなって思う。多少具合悪くても、寝なくてもやるみたいな。『オールナイトニッポン』なんてその最たるものですけど、やっぱり楽しかったから乗り切れた部分はたくさんありますね。自分が今まで好きだったものとか、友達と話して楽しかったこととか、テレビで見てきたことが、こんなにも番組で生かされるってすごいなあって思いますよ。