立教大学は12月13日、強い紫外線環境における地球類似惑星を想定した大気シミュレーションを用いた検討により、強い紫外線環境では「原子輝線放射冷却」が重要な冷却過程となることを明らかにし、その結果、地球のような惑星は強い紫外線環境下でも数十億年にわたって大気の保持が可能であることを示したことを発表した。
同成果は、立教大 理学研究科の中山陽史特任准教授らの研究チームによるもの。詳細は、米天体物理学専門誌「The Astrophysical Journal」に掲載された。
2022年3月時点で発見された系外惑星は5000個以上となり、その中には地球によく似た特性を持つ可能性がある「ハビタブル惑星」も報告されている。そうした惑星が地球のような温暖環境を保持し、生命を宿しうる惑星なのかは良く分かっていない。しかし、温暖環境の保持に対して重要となる惑星大気は、恒星から届くX線と極端紫外線で構成される短波長(<100nm)の光である「XUV照射」によって加熱され、大気散逸が促されるため、大気そして温暖環境の保持は困難であると考えられている。
特に太陽系近傍に多く存在し、質量が小さく低温の赤色矮星(低温度星またはM型星)を公転する地球型惑星は将来的な観測対象として期待されているものの、数十億年にわたって中心星からの強いXUV照射を受け続けることが示唆されている。赤色矮星系におけるハビタブルゾーンは、中心星に非常に近いため(太陽系であれば水星軌道と同等からもっと内側に存在)、強いXUV照射を受けてしまうこととなり、地球のような温暖な環境を保持する惑星の存在は、理論的には難しいと示唆されていた。
そこで研究チームは今回、地球類似惑星を想定した大気シミュレーションを用いて、強いXUV放射による影響を調べることにしたという。