奈緒自身、子どもの頃から「母に『大好きだよ』とか『産んでくれてありがとう』とか、そのときにまっすぐ思った言葉をすぐに書いて、渡していました」と、手紙をプレゼントすることが多かったのだそう。「言葉で伝えることもできるのに、なぜ手紙にしたくなったんだろうと今考えると、自分が思いを込めて書いた字の手紙を、母が形として受け取って持ってくれるというのが、すごくうれしかったんだろうなと思います」と自己分析する。

大切な人へ手紙を書くのは、大人になった今も。今年9月には、映画『マイ・ブロークン・マリコ』のイベントで、共演する永野芽郁にサプライズで用意した手紙を読んだが、「芽郁ちゃんには日頃からすごく感謝を伝えているんですけど、思うように言葉が出てこないこともあったり、家に帰って『あー、あれも伝えておけばよかった』と後悔することもあったので、感謝を伝えきらなきゃという思いと、これからも仲良くしてほしいという気持ちを手紙に書きました」と打ち明けた。

  • 映画『マイ・ブロークン・マリコ』のイベントで永野芽郁に手紙を読んだ奈緒

10月クールに放送された主演ドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ)では、クランクアップの前日に漁船団役キャストの12人へ1人ずつ手紙を書いて、当日に渡した。

「書いているときは、その人とこの3カ月にあったことを思い返せる時間になって、『あんなこともあったな…』って筆が止まっちゃうこともあるんですけど、今は打ち上げもない時代なので、思いを伝えきらなきゃと思って手紙を書いて渡したら、みなさん『大事にするよ』とすごく喜んでくださいました」

LINEやメールでやり取りすることも当然あるが、「手紙は、書いているときに相手のことを思い浮かべられるんです。『ちょっと違うな』と思って消しゴムで消しているときも、『どの便せんにしようかな』と悩んでいるときも、相手のことを考えられる時間になるので、思いや気持ちをより伝えられるのは、やっぱり手紙なのかなと思いますね」と、欠かせないコミュニケーションツールになっているそうだ。

■いろんなことが思い返せる“宝物”

一方で、自分が受け取った手紙も、大切なものになっている。

「母も手紙が好きで、今でも私がしばらく遠方に行くときに、『頑張ってね』と一筆書いた手紙をバッグの中に入れたりしてくれるんです。また、ファンの方から頂いたお手紙をスケジュール帳にずっと入れて、それを読んで頑張れるときもすごくありました」

さらに、「『ファーストペンギン!』のスタッフさんたちが私にお手紙を書いてくださって、今日(※『ファーストペンギン!』最終回の放送日)も朝から(番宣の)電波ジャックがあったんですけど、みんなの手紙を読んで『頑張るぞ!』と思って家を出ました」といい、「本当にいろんなことが思い返せる“宝物”だと思います」と表現した。

今回の番組をきっかけに、視聴者にも手紙を書くことを推奨する奈緒。「ずっと書いていないと、一歩踏み出すハードルが高く感じてしまうと思うのですが、自分で悪筆だと思っていたとしても、『ありがとう』の一言でも伝えたいことがあったら、まずはそれをどんな紙にでもいいので書いてみるといいと思います。その手紙を出さなくても、自分と向き合える時間になると思うので、今皆さんが思うことをぜひ紙に書いてほしいなと思います」と呼びかけた。

  • (C)フジテレビ

●奈緒
1995年生まれ、福岡県出身。15年に単身上京し、『雨女』(16年)で映画初出演。NHK連続テレビ小説『半分、青い。』(18年)でヒロインの親友役を演じて注目を集める。以降、『のの湯』(BS12)、『あなたの番です』『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』『ファーストペンギン!』(日本テレビ)、『演じ屋』(WOWOW)などのドラマ、『ハルカの陶』『僕の好きな女の子』『事故物件 恐い間取り』『TANG タング』『マイ・ブロークン・マリコ』などの映画に出演。来年2月10日には、ヒロインを務める映画『#マンホール』が公開予定となっている。