◆RMMT 1.1(グラフ68~69)
RMMT 1.1
Rightmark.org
http://cpu.rightmark.org/products/rmma.shtml
RMMTであるが、Ryzen 9 7900Xの傾向はRyzen 9 7950Xと非常に似た傾向を示した。つまり5 Threadからのアクセスの時が一番性能が良い、というものだ。なんでこんなことに? という話は流石に不明だが、ただ前回のベンチマーク結果がおかしいわけではなく、2ダイ構成のRyzen 7000シリーズに共通の特性であることが再確認できたわけだ。
これは要するにRyzen 7000シリーズで使われるIODの特性なのであろう。それがInfinity Fabricに起因するのか、Memory Controllerに起因するのかは断言できないが、シングルダイのRyzen 5 7600X/Ryzen 7 7700Xと3 Thread目以降の傾向が明白に異なるあたりは、どちらかというと前者の公算が高い様に思う。
◆消費電力測定(グラフ70~76)
最後に消費電力測定を。テスト項目は以前と一緒なので説明は割愛するとして、細かく結果を見てみたい。
SandraのDhrystone/WhetstoneのRyzen 9 7900Xの消費電力は概ねCore i9-12900Kと同じ程度で、Ryzen 9 7950Xよりは50W近く下がっている。では効率的か? と言われるとそれはまた別の話で、表2にRyzen 9 7900Xも加えたDhrystone/Whetstoneの実行効率を示すが、悪くはないもののRyzen 9 7950Xの方が良好である。このあたりは、やはりコア数を多くして動作周波数を控えめにした方が効率が良い、という実例なのかもしれない。
■表2 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Dhrystone | Whetstone | |||||
Score | Power | Efficiency | Score | Power | Efficiency | |
GIPS | W | GIPS/W | GFlops | W | GLlops/W | |
i9-12900K | 670.86 | 200.6 | 3.34 | 493.57 | 194.4 | 2.54 |
R9 5950X | 601.83 | 163.6 | 3.68 | 496.93 | 163 | 3.05 |
R5 7600X | 329.00 | 110.9 | 2.97 | 265.30 | 104.6 | 2.54 |
R7 7700X | 418.66 | 122.5 | 3.42 | 333.10 | 119.9 | 2.78 |
R9 7900X | 650.12 | 192.0 | 3.39 | 519.27 | 179.0 | 2.90 |
R9 7950X | 850.00 | 235.5 | 3.61 | 681.26 | 224.3 | 3.04 |
ただそうは言ってもCineBenchでもTMPGEncでも、軒並み50W程低いというのはやはり省電力を考えると魅力的である。もっともそれを言い始めればRyzen 7 7700Xの方がより低い訳ではあるが、Gamingはともかくエンコードを考えるとデュアルダイの性能が圧倒的なのは事実で、このあたりどこでバランスを取るかという議論になる。まぁただこの消費電力であれば、少なくとも360mmラジエターは不要な感じだ。120mmでは不足かもしれないが、240mmで何とか収まりそうではある。
考察
ということで速報版に間に合わなかったRyzen 9 7900Xの成績を補足させていただいた。こちらの最後にも書いたが、Ryzen 9 7900Xの推奨小売価格は\92,500。原稿執筆時点でのAmazonの価格は\93,434。ちなみにRyzen 9 9750Xは\118,990で、どちらも推奨小売価格より1,000円ほど高いが、まぁその程度である。今回の性能差で2万の価格差と考えると、確かにRyzen 9 7900Xの方がお買い得感は高いかもしれない。実際エンコードをメインにするのでなければ、Ryzen 9 7900Xで十分という感じだ。
問題は競合であって、本来の敵はAlder LakeではなくRaptor Lakeである。こちらのレポートも近日中にお届けするので、お待ちいただきたい。