――兄である凌牙を演じる庄野崎さんの印象は最初から変化はありましたか?
もう、すんごい”お兄ちゃん”です(笑)。堅い役なこともあり、最初は冗談が通じるのかな、性格が合わなかったらどうしようと不安だったんですけれど、何かがきっかけで冗談を言い合えるようになって、そこからは私も素が出せるようになりました。本当に頼りにしていて、私がボンヤリしていても、「行くよ!」と声をかけて引っ張ってくれるような、まさに”お兄ちゃん”という感じですね。
――本作で監督を務める柏木宏紀監督は、テレビシリーズで36・37話を担当されていましたね。
私たちが一年間やってきた役、玲花と凌牙への気持ちを汲んでくださって、監督の製作へのこだわりの部分と、私たちが玲花・凌牙として壊したくないところを何度も何度も話し合い、受け止めてくださいました。結果として、すごくいい作品ができたんじゃないかなと思います。役への気持ちを大切にしてくださったので、すごくうれしかったですね。
――先ほど庄野崎さんにインタビューさせていただいた際に、アンジェラさんの演技に向き合う熱心さに影響を受けたとお話しされていました。演技は『仮面ライダーセイバー』が初挑戦だとお伺いしたのですが、1年を通してご自身に変化はありましたか?
最初のうちは本当に何をしていいのかもわかりませんでした。玲花が一人だったときは、とりあえず暗躍しておけばいいのかな、くらいの立ち位置だったので、そこまで深く考えることもありませんでした。そんなときに台本で、玲花の兄が出ることを知ったんです。
共演して早々に、お兄様が「神代兄妹ってどんな境遇で生きてきたんだろうね」と話を切り出してきたことがありました。そういわれて、「確かに、玲花たちはどんな人生を生きてきたんだろう」って思ったんです。私はそれまでそんなことは考えたことがなかったし、考えようともしてなかった。「二人だけなのかな?」「親はいるのかな?」とか。もしかしたら玲花はお兄様が親代わりだったのかもしれない。そういうところから、一から二人でバックボーンを作り上げて。そこから、「ああこういうことか」というのがちょっとずつ見えてきたんです。
お芝居をやり始めた時に、「セリフが覚えられないんです」と相談すると、「その人を憑依させて、その人そのものになってしまえば大丈夫だから」って言われるんです。でも「役になるってどういうこと?」って。そこがわからなかったんです。でも、なんとなくお兄様と少しずつそんなことをやっていると、ちょっとずつつかめてきました。お兄様はご家庭があり、お子さんを育てていることもあって、育てることに慣れているのかなと思うんですけど、うまくできるとめっちゃ褒めてくれるんですよ。だから私もやりがいがあるし、わからないところを聞くと、私以上に熱心に考えてくれるんです。それがわかってから頼るようになってきて。だからお芝居でわからない部分はすべてお兄様に聞いていました。ちょっとずつの成長かもしれないけれど、まるっきり素人だった私のお芝居が成長することができたのは、お兄様がいたからこそなんです。
――1年間取り組んでみて、お芝居に対する欲は出ましたか?
そうですね、やりたい、そして楽しいと思うようになりました。確かに朝は早いし、直前まで何を撮るのかわからないんですけど。お芝居を考えるのも難しいし。人になりきるって自分が思っているよりもずっと難しくて、どこから手を付けていいかわからなくて苦しい状態というのもあったんですけど、それをひっくるめても楽しいと思えたので、やりたいなというより、やってみたいなと思えました。
『仮面ライダーセイバー』に入る前は、漠然と女優もやってみたいなという感じだったんですけど、作品を通してすごく楽しい、もっとやりたいって思えるようになりました。もし、また挑戦させてもらえる機会をいただけたら、その時に最大限の力が出せるようにできたらいいなと思っています。
――そういう頑張りが評価されて、こうしてスピンオフとして実を結ぶというのも素晴らしいですね。
ありがとうございます。でも、そこにはかっこよく撮ってくださった監督をはじめとするスタッフさんたちの仕事があり、そこから神代兄妹がすきだと言ってくださる方々が増え、そして視聴者のみなさんがSNSなどで反響を形にしてくれたことで実現したものだと思うんです。本当に私たちだけでは実現できなかったことなので、うれしいですね。
――初共演となった矢崎広さんの印象は?
実はあまりお話できなかったんです。というのも、矢崎さんの前で食べ物をとにかく食べまくるというシーンがあったのですが、なるべく口の中に詰め込むために食べる順番を覚える必要があったんです。それを覚えるのに必死で現場ではお話しすることができませんでした。でもすごく雰囲気のある方で、目から伝わるお芝居への情熱とか、存在感のすごくある役者さんだなと思いました。ご一緒して気が引き締まる思いでした。
――改めて作品の見どころを教えてください。
本編では語られなかった神代兄妹の私生活の部分を見れると思いますし、すごくスピーディーで駆け抜けるような作品なので、すごく見やすいと思います。二人の複雑な心境、二人が家族であるという部分に焦点をおいたお話なので、ぜひ見てほしいです。
(C)東映特撮ファンクラブ (C)2020 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映