小栗旬主演の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の第41回で、有力御家人の和田義盛が反乱を起こす「和田合戦」が描かれた。シェイクスピアの舞台などで知られる横田栄司は、和田義盛の壮絶な最期を熱演。義盛に信頼を寄せていた鎌倉幕府3代将軍・源実朝役を演じる柿澤勇人が、同シーンの舞台裏や横田との胸熱なエピソードを明かした。
和田義盛といえば、鎌倉幕府創業以来の功臣である。そして、これまでに“仁義なき戦い”が頻繁に展開されてきた『鎌倉殿の13人』においての義盛は、コメディリリーフ的存在として、視聴者からも愛されてきた。常に公務で重圧を感じている実朝も、息抜きに訪れる義盛の館では、少年のように穏やかな笑みを見せていたのも記憶に新しいところだ。
第38回では、義盛が実朝を「武衛」(兵衛府の唐名)と呼んだところ、実朝から「今は羽林(近衛府)だ」とツッコまれるやりとりは、頼朝(大泉洋)と上総広常(佐藤浩市)の会話からの伏線で笑いを誘った。また、北条時政(坂東彌十郎)が義盛に、息子の義時(小栗旬)への大切な伝言「あとは託した」といった言葉を託された時、義盛は「承知つかまつった」と返事をしたにも関わらず忘れてしまい、実朝が代弁してフォローする場面もあった。
義盛は実朝にとって大切な腹心の部下だったが、それだけに、北条氏打倒の陰謀に和田家が関わったことを知り、かなり心を痛めたことは間違いない。
「実朝は義盛のことをすごく慕っていたのに、良好だったはずの関係がどんどん悪くなっていった挙げ句に、和田合戦となってしまう。あれだけ仲の良かった義盛を失わなければいけないことは、すごく悲しいなと思いました」
柿澤と横田とは、シェイクスピアの戯曲『アテネのタイモン』や、三谷幸喜氏の舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』などでも共演してきて、勝手知ったる仲だとか。
「『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』では、兄弟役でしたが、栄司さんも僕もお酒が大好きなので、稽古や本番が終わってからしょっちゅう一緒に飲んでいました。本当に良き兄ちゃんというか、芝居バカなところも大好きです。一度、飲み屋で大喧嘩したこともあるぐらいの仲です(笑)」
『鎌倉殿の13人』について、三谷氏はよくシェイクスピア作の『マクベス』を引き合いに出していたが、柿澤によると、実朝と義盛との関係については、同じくシェイクスピア作『ヘンリー四世』のハル王子と、大酒飲みでお調子者のフォルスタッフのような関係性にたとえていたそうだ。
「『ヘンリー四世』で、すごく真面目なハル王子は若くして王子となります。フォルスタッフは恰幅のいい大酒飲みですが、ハル王子に対しても『硬いことは考えない。とにかく飲んで遊ぼうぜ』という感じで接していく。いわば、若者にちょっと悪いことを教える、つまり知らない世界を見せてあげるといったシーンもあります。三谷さんはそういう2人の関係性を意識して脚本を書かれたとか。僕も何本かシェイクスピアの舞台をやらせてもらったし、栄司さんはものすごい数のシェイクスピア作品を演じてらっしゃるので『ああ、そういうことか』と腑に落ちました」