3Aをコンセプトにモビリティの確認に挑戦
SHMでは、パーパス(存在意義)に、「多様な知で革新を追求し、人を動かす」を掲げ、「知を繋げ、最先端のテクノロジーへの挑戦を行い、人の感性や行動へ働きかけ、人を動かすモビリティの革新を実現していく」としている。
SHMの方向性を示すのが、川西社長兼COOが示した「Autonomy」、「Augmentation」、「Affinity」による3Aのコンセプトだ。
川西社長兼COOは、「どんなクルマを作りたいのか。どんなブランドにしたいのか。何度も、そこに立ち返って議論をした。最先端のテクノロジーを詰め込みたい、顧客に新たなモビリティの体験価値やサービスを提供したい、上質なモビリティを実現したい、スタートアップのマインドで挑戦したいなどの意見が出た。これらの意見を集約した結果が3Aのコンセプトになっている」と語る。
Autonomyは、「進化する自律性」とし、ホンダが提唱する「事故に遭わない社会」の実現に向けた取り組みと、ソニーが持つ車載センサー技術を組み合わせて、さらなる安全性能の向上に努めることを目指す。また、快適な移動空間を提供するためにさまざまなインテリジェント技術を活用し、特定条件下での自動運転機能であるレベル3の搭載を目指すと同時に、市街地などのより広い運転条件下での運転支援機能であるレベル2+の開発にも取り組む。これを実現するためのハードウェアとして、合計800TOPS以上の演算性能を持つ高性能SoCを採用する予定であり、クルマのなかで、ハイパフォーマンスコンピューティングを実現し、走行性能の強化やインテリジェンス化を進める。
2つめのAugmentationは、「身体・時空間の拡張」としており、安心安全の上に成り立つ移動空間においては、ユーザーには運転以外の楽しみを提供できる環境が整うことに着目。ソニーが持つエンターテイメント技術やコンテンツのほか、これまで培ってきたUXやUIを活用した新たなHMIを提案していく。クラウドで提供するサービスと連携することで、ユーザーごとにパーソナライズした車内環境を実現する。
「SHMが提供するモビリティは、クルマやサービスを届けて終わりではない。一人ひとりに寄り添い、快適で、楽しいモビリティに進化し、成長を続けることになる。移動する空間価値に着目し、物理的に移動するための手段だけでなく、リアルとバーチャルの世界を融合することで、移動空間をエンターテイメント空間や感動空間へと拡張する。メタバースなどのデジタルをフルに活用した新しいエンターテイメント空間の可能性も追求する。さらに、移動空間における新たなコミュニティも創造したい。これを実現するために、HMIおよびIVIには、ユーザーをおもてなしするために十分な最新のSoCを2個搭載し、リッチな顧客体験と、将来的なアップデートに対応する。ADやADAS、ECUと組み合わせて、従来のECUをハイパフォーマンスな統合ECUに集約し、トータルでのECUの削減も狙う。ネットワークには5Gを採用し、クラウドとのサービス連携を進める」(川西社長兼COO)などと述べた。
車体のプラットフォームは新規に開発するが、ここにはホンダが持っている技術を生かすことになる。また、サービスプラットフォームは、ソニーグループのソニーモビリティが構築をしていくことになる。
3つめのAffinityには、「人との協調、社会との共生」という思いを込めたという。
モビリティを、社会インフラの一部と捉え、カスタマーだけでなく、自動車産業におけるパートナーや、それ以外の様々な産業を支えるパートナー、モビリティにおける新たなエンターテイメントの創出に挑戦するクリエイターとともに、オープンで自由な環境を作っていくという。