その結果、以下の2つの仮定からなる「両極性モデル」を立てることによって、Muの実験結果を統一的に記述できることが示されたとする。
- 中性状態を伴うMuや水素の状態は準安定状態にあること
- これらの状態が、第一原理計算で準安定状態として予測されるアクセプター準位、およびドナー準位を伴った状態に対応すること
特に、ワイドギャップ酸化物中で観測される中性状態は、アクセプター準位(E0/-)に電子が1個束縛された状態で、これと対になって観測される正イオン状態は、ドナー準位(E+/0)が伝導帯に入り込んだ状態に対応することが判明したという。
研究チームによると、両極性モデルは、孤立水素についての第一原理計算とMu/水素の実験結果との統合的な理解へ向けての端緒となると思われ、実験と理論との有機的な協働による、材料中における水素の詳細な理解へとつながることが期待されるという。