■二次元を愛する人間として「実写化は別の世界線」
――えりぴよになった自分を見たときの感想を教えてください。
正直自分では「えりぴよだな」とは強く思わなかったです。私は元々二次元を愛する人間なので、二次元作品が実写化されても、原作の二次元作品と実写化された作品はイコールではなく、同じ世界線に存在しない感覚なんです。だからできるだけ似せられたらいいなと思いながらも、ビジュアルを完璧に寄せようとは実は意識していなくて、えりぴよという人間に寄り添って内面を近づけたいという気持ちが大きいです。でも「えりぴよに似てるね」と褒めていただけるのはうれしいです。
――アニメでも人気の楽曲「ずっと ChamJam」がドラマにも登場しますが、初めて実写で見たときの感想を教えてください。
アニメで見る「ずっと ChamJam」も好きだったんですけど、実写のクオリティの高さにもびっくりしました。こんなこと言ったら夢が壊れちゃいますけど、ChamJamを演じているのはドラマのために集まった皆さんじゃないですか(笑)。でも本当に3年間やってきたような一体感があってすごかったです。振り付けの先生は基本のダンスを教えただけで、細かい動きは何も伝えていないらしいのですが、1人ひとり踊り方が全然違っていて。キャストの皆さんが演じるキャラクターを吸い取って、「眞妃ってこうやって踊るよね」「優佳はこんなダンスだよね」と表現されているのが見ていて面白いです。
オタク側のキャストは「次の1回は優佳を見よう」と決めて見た後に「優佳のここがすごい!」と褒めて盛り上がったり、本当の現場のような会話をしています。皆演じる役が単推しなので、最初は「自分の推しは最高!」とだけ言っていたんですけど、順番に皆の推しを見るようになってからはすっかり箱推しになりました。
■恋人とは違う距離感が生む感情に涙
――ちなみに、原作やアニメを見ていたときの推しは誰でしたか。
実は眞妃が好きでした。リーダーとしてChamJamを引っ張るれおとはまた違う支え方をしている、ちょっと大人っぽいキャラクターで。それも頑張ってやっているわけじゃなく、天性のものというか。どこかおばあちゃんのような見守り方をしていて、何を言っても受け止めてくれそうな包容力のあるところが眞妃の魅力だと思います。
――えりぴよを演じていて泣けるシーンはありましたか。
ありました。アニメを見ているときもそうだったんですけど、泣かせるシーンじゃなくても涙が出てきたり、台本に「泣きながら話す」と書いてなくても自然と涙があふれる台詞が多くて。アイドルとオタクは、恋人とは違うじゃないですか。その距離感の難しさが作り出す感情の起伏にグッと来たのかもしれません。
1992年8月27日生まれ、大阪府出身。2011年、乃木坂46の1期生オーディションに合格し、デビュー。愛称はさゆりん、さゆりんご、まっちゅん。2021年グループを卒業し、2022年は『農家のミカタ』、『愛しい嘘~優しい闇~』、『花嫁未満エスケープ』、『お前によろしく』と立て続けにドラマ出演。10月7日より『結婚するって、本当ですか』がAmazon Prime Videoで配信される。またファッション誌『BAILA』のレギュラーモデルや、自身が立ち上げたアパレルブランド「LANTINAM」ディレクターも務めている。
■ヘアメイク/駒水友紀、スタイリスト/椎名倉平