現在放送されているドラマ『少年のアビス』(ドラマ特区 MBS毎週木曜24:59~/tvk毎週木曜23:00~ほか)で、ヒロイン・青江ナギを好演している元乃木坂46の北野日奈子にインタビュー。心に闇を抱えたアイドルをどのように演じているのか。本作での役作りを聞くとともに、ナギとは真逆の“太陽キャラ”として知られる北野の内面にも迫った。

  • 北野日奈子 撮影:加藤千雅

峰浪りょう氏の人気コミックを原作とする本作は、“心中”をテーマに人間の欲望と心の闇を映し出す異色のラブストーリー。閉塞感が漂う田舎町で、引きこもりの兄、認知症の祖母、その2人を相手に疲れ切った母親と暮らしている主人公の高校生・黒瀬令児(荒木飛羽)はある日、憧れのアイドル・青江ナギ(北野)と出会い、2人で心中しようと提案される。すべてを投じようとした瞬間、令児の担任・柴沢由里(松井玲奈)に助けられ、この日から令児の人生、そして周囲が大きく変わり始める。

北野はオファーを受けてから原作を読み、衝撃を受けたという。「テーマが心中で、漫画で表現できてもテレビではギリギリの線なのではないかなと。登場人物みんなが心に深い闇を持っていて、ナギちゃんが来ることによって解放されていくというのも衝撃的だなと感じ、これがどのようにドラマになっていくのかドキドキしました」

撮影開始当初はスタッフたちに確認しながらナギを作り上げ、次第に役をつかんでいったという。「撮影が進んでいくにつれてテンションやトーンなど言葉の置き方を間違えることが減っていきました。普段の自分が明るめなので、ナギちゃんを演じている自分にすごく気を使って、待ち時間に1人で台本と向き合うことが多かったのですが、そういう時間を持たなくてもナギちゃんにスッと入れるようになりました」

演じる際には「感情が乗らないように注意し、目が据わっている人をイメージしました」とのこと。「感情がないと言わないセリフが多く、『一緒に死のうよ』というのも感情が乗ってしまうセリフですが、ナギは空っぽだということを常に頭に入れて、死んだ目を意識しました。目が光らないように、できるだけ心を静めて空っぽを表現しました」

そんなナギを演じても「心が沈むことはなかった」と言う北野だが、いい意味で変化があったそうで「街を歩いていても周りが気になるように。みんないろいろ抱えているんだろうなって考えながら歩くようになりました」と明かす。

また、「ナギちゃんは言葉と気持ちが反対だなと感じ、本当はきっと死にたくないんだろうな、本当は生きていくのが怖いから死ぬことを選択しようとしているんだろうなって。言葉と気持ちの裏腹も勉強になったので、人と話していても、この人の本質はどこにあるんだろうと、人に対して気を使えるようになれるようになりました」とも話した。