その後、学校での取り組みを開始 ー 生徒の反応は?
その後、真和中学・高等学校内のすべての女子トイレに生理用品を常備する取り組みを5月より開始した。どのように全校生徒に周知したのだろうか?また、そのときの生徒の反応についても詳しく聞いた。
「生理用品を常備化するだけでは、当事者である女子生徒だけの取り組みになってしまいます。女性が生理の悩みを抱え込まず、安心して生活が送れる社会を作るためには、まず周りの人たちが生理に対して正しく理解することが必要です。そこで全校生徒にプリントを配布したり、放送を行なったりして、男子生徒にも生理について理解するよう促しました。全ての生徒に繰り返し周知を行ったことは、私たちが目指す『生理に対して理解ある学校づくり』に役立ったと思います」(西村さん)
実際に取り組みを開始し、生徒たちの反応について右田さんはこう話す。
男子生徒については、「生理用品の常備化の取り組みは『生理の貧困』の解決策としてだけでなく、ジェンダー平等のための活動にもなっていると感じてもらえたようです。試験運用後のアンケート結果から、常備化に賛成する男子生徒は8割を超えることがわかりました。また、生理とその課題について自分で調べ、考えを改めたという男子生徒がいたこともわかりました。より良い判断をするために行動してくれた男子生徒がいることを知り、嬉しかったですし、このように当事者の周囲の人々を巻き込み、理解を深めてもらう努力をすることで、私たちの社会はより安心できる環境に変わっていくのではないか、と実感しました」。
女子生徒については、「急に生理が始まったときに助かる」という声を多くもらっているそう。また、3カ月間の試験運用終了後、学年別に使用状況の分析や、全校生徒へのアンケートを実施した結果、高校生に比べて中学生の方が使用頻度が高いことが分かったという。
「人数は高校生が多いにも関わらず、実際の補充は中学生の方が多かったわけです。これは中学生ほど、生理に関して不慣れな部分が多いとともに、思春期における身体の変化についてもっとしっかり学んでいき、さらに生理への理解を深めていく必要性があることを示唆しているのではないかと思います」(右田さん)
現時点で認識している課題や改善すべき点について村本さんは、「男子生徒は、女子トイレに置いてある生理用品を実際に目にすることがありません。常備化の影響を感じる機会は少ないと思います。常備化以外にも意見交流など、今後活発に行う必要があります。いま、そうした場の実現に向けて動いているところです」と話す。
また常備化した生理用品は、全て一定サイズの物だったが、別のサイズ、別の種類が欲しいといった要望も多く、検討の必要があると考えているそう。生徒それぞれの適合と、公的に学校で準備する内容とのすり合わせは、今後の改善点だそうだ。
「生理用品の補充は、トイレ掃除の生徒にお願いしているのですが、場所によっては一日でほとんどなくなってしまうトイレもあり、補充が大変だという声も聞きます。トイレ掃除担当の人数を増やしたり、補充係を新設したりなど、学校の掃除担当の先生方と話し合う必要性を感じています」(村本さん)
最後は岩下さんに、これから先の取り組みについて聞いた。「学校の先生方や生徒と、アンケート結果をふまえた課題発見と解決策を考える意見交換イベントを実施したいと考えています。私たちGRAYだけでなく、さまざまな人の意見を募り、この取り組みをより良くしていきたいです。このような具体的な取り組みを地道に継続していくことが、ジェンダー平等の社会の実現に寄与できると信じています」と力を込めた。