マイナビでは、全国の高校生を対象にした国内最大級のビジネスコンテスト『キャリア甲子園』を運営している。高校生チームが企業から出題されたテーマに挑戦していく、アイデアコンテストだ。今年(2022年)3月13日に開催された『キャリア甲子園2021』決勝において総合優勝の栄冠に輝いたのは、熊本県熊本市の真和高等学校GRAYチームだった。そこで優勝メンバーに話を聞いた。

  • 「キャリア甲子園2021」優勝メンバー、真和高等学校GRAYチームに聞いた

キャリア甲子園に2年連続でチャレンジ

キャリア甲子園2021のテーマは、『Re:Creation』。総合優勝のGRAYチームは、男女を問わない社会問題を真正面から取り上げ、全員で高い使命感をもってテーマに挑んだ姿勢が高く評価された。なお審査員を務めたビジネス・ブレークスルー大学 副学長の宇田左近氏は「生命保険会社1社のためではなく、全他愛を考えるという視点があったことも良い結果につながった」とコメントしている。

インタビューに応じてくれたのは、真和高等学校GRAYチームの西村菜緒さん、右田紗雪さん、村本真菜さん、岩下莉子さん。

実はGRAYチームがキャリア甲子園に挑んだのは、今回が2度目。昨年(2021年)開催の「キャリア甲子園2020」では、惜しくも準決勝敗退に終わっている。このことについて、リーダーの西村さんは「昨年は校内でキャリア甲子園の決勝に進んだ先輩たちの話を聞く機会があり、各人が個人的に興味を持って参加しました。そのときこのチームは、まだ1つになっていませんでした」と振り返る。

  • 西村菜緒さん

キャリア甲子園には、2年連続のチャレンジとなった。誰が呼びかけたのだろう?そんな問いかけには、全員で顔を見合わせ、右田さんが「誰からともなく…」と答える。「前回大会のあと、私たちそれぞれのなかで思うところがあって。参加するなら同じチームが良い、というのはメンバーの共通意見でした。2年生になると受験勉強のことも気がかりで、出場に際しては不安もあったんですが、やはりチャレンジしてみようという意見で一致しました」(右田さん)。

  • 右田紗雪さん

チームの雰囲気について、岩下さんは「私たち4人は普段、そこまで一緒にいることもありません。だから1回目の出場のときは、お互い探り探りでした。でも2回目になると、朝早くから夜中までみんなでアイデアを出し続けました。最長で、夜中の3時までやったときもあって」と語る。これには一同も「気が付いたら3時だった」と笑いあう。

村本さんは「他にも、思ったことをお互いにハッキリ言いあえるようになりました。だからといって雰囲気が悪くなることもなかったです。人の意見を認め、理解し、思ったことは何でも言いあえる。お互いが自然と、そんな努力をするようになった。チームが成長したポイントだと思います」と総括する。

  • 笑顔で取材に対応してくれたGRAYチームの皆さん

メンバー自身も成長を感じる機会に

キャリア甲子園2021では、『生命保険会社が提供する安心』とは何かを再定義し、これまでにない新しいサービスを提案せよ、というテーマが出題された。そこでGRAYチームは『生理の貧困』という課題を大きく取り上げる。

この経緯について、西村さんは「まず各企業のテーマをみんなで分析していきました。そのなかで一番、自分たちのアイデアが出やすかったのが生命保険協会さんでした。その頃ちょうど、新型コロナウイルスのワクチン接種、また子宮頸がんのワクチン接種などに関する情報が数多く出回っていました。そこで身近な問題から“日常の不安”を解決できるような保険はないのか、という課題意識が芽生え、最終的に『生理の貧困』にたどり着いたんです」と説明する。

キャリア甲子園を通して感じたこと、学んだことは?

岩下さんは「キャリア甲子園では審査ごとにフィードバックがあり、企画を何度も作り直さないといけません。それがとても大変なんですが、チームでやっていくと大変さのなかにも楽しさがあって。課題をみんなで乗り越えていくことの素晴らしさを知りました。キャリア甲子園を通じて学んだことの1つです。大会中はキツい、やめたい、って思うこともあったけれど、こうして決勝大会を終え、いま出来上がったものを見てみると、キャリア甲子園から離れてしまう自分がとても寂しく思えてきます。それだけ、みんなで楽しくやってこられたんだなって実感しています」。

  • 岩下莉子さん

村本さんは「朝から夜まで企画を考えることも多く、やっているときは大変だなあと思うこともありましたが、話し合っている時間はすごく充実していて、本当に楽しかった。特に準決勝から決勝までは4人で一緒に過ごすことも多かったですね。いま思い返すと、疲れてはいるけれど、その時間は全く苦ではなかったです」。

  • 村本真菜さん

右田さんは「信頼関係って、すごく大切だなって感じました。緊張したか、とよく聞かれますが、私たちはあまり緊張せずに決勝の舞台に立てたと思います。もし何かあっても、仲間が助けてくれるって安心感がありました。このキャリア甲子園に挑戦した2年間を通して、そんな信頼関係を築くことができたのではないと思います」。

西村さんは「私はこれまで、考えていることを一方的に話してしまうことが多くて。でもメンバーのみんなは、私の意見を聞いた上でそれぞれが感じたことを口に出してくれる。みんなの意見がひとつになってアイデアがブラッシュアップされ、完成していく過程を肌で感じました。沢山の人たちからアドバイスをもらう中で、それを一度、自分たちの中に落とし込んだ上で、どうまとめて“私たち4人のプレゼン”としてブラッシュアップしていくか、考えることが楽しくもあったし、達成感もありました」。