――芸人になってから兄弟関係に変化はありますか?
卓也:そんなにないかな。7歳離れていて、弟が高校生していたとき、僕はもうサラリーマンやっていて、転勤で大阪にいたんですよ。仲は良かったですけど、だからそんなにがっつりしゃべるみたいなことはなかった。1年に1回家に帰って、「おいっ」とかふざけて話すくらい。「おれたちはこういう兄弟だ!」みたいなものはなかったです。芸人を始めてからのほうがめちゃくちゃしゃべってるかもしれません。そこまで兄弟らしい関係性はなかったかもしれません。
有輝:なんか寂しいな。関係性ないって。
卓也:いやいやいや(笑)。あるけど、兄弟の関係がより深くなったということです!
――兄弟コンビとして感じる強みは?
有輝:終わりがない、という点はありますね。普通のコンビなら解散してさようなら、ですけど、僕らはお笑いのコンビを解散しても実の兄弟。やめようという選択がない。
卓也:仲間意識は、他人同士で組んでいるコンビは強いと思います。言うても、土佐家の一員としてやっているわけですから。連帯感はかなり強みですね。
――逆に大変なことは?
有輝:例えば……お母さんに「あんた、何々の仕事したんでしょ?」と伝えてないことをすでに知っている。
卓也:うちの奥さん経由で情報がバレてしまう。
有輝:全部つつ抜け。場所が把握されている感じはあります。高知でロケしていることをキャッチして、土佐家が高知に旅行で来たこともあります。「ワンチャン、会えるかも」みたいなノリで。
――兄弟ゲンカはしますか?
有輝:ケンカはないですね。子供の頃からないです。兄ちゃんは7個上で、僕が何をやっても反撃されない確信はありました。顔面ガンガンひっかいたりして(笑)
卓也:やり返そうとしたんですけど、母親から「あんたが本当に弟に立ち向かったら死んじゃうから!」とたしなめられたんです。そう言われたら手が出せないじゃないですか。3歳と10歳では体格差があるし、たしかに何か起きるかもしれない。「死んじゃうかもしれないから」と言われ続けて。
有輝:それがあって、何をやってもキレないな、というのはあります。
卓也:僕は今でもキレて弟に何かしたら死んじゃうんじゃないかと思っています。死なれたら困る。
――母親の呪文が今も効いているんですね。
有輝:ケンカになることはないです。
――本人を前にして気恥ずかしいと思いますが、お互いの魅力は?
有輝:兄ちゃんは昔から、好きなものや好きなことをためらわずに言うんですよ。「これ良かった」「この人めっちゃ好き」って恥ずかしげもなく言う。それを聞いた関係者の耳に入って仕事につながったりする。よくそんな浅い知識で「好き」って言えるな~って思うけど、他人の目を気にしないで堂々と「好き」と言えるのはすごい。
卓也:弟は、純粋無垢なところじゃないですかね。純粋に物事をとらえる。だから高校生のときの純粋さが残っている。精神年齢が高校生のままのところがあると思うんです。だからリアリティをもって高校生ネタができる。
――有輝さんが若々しいと感じた瞬間は?
卓也:基本的に、難しい手続きとかは僕に任せる。
――それはただ、面倒なことをお兄ちゃんに押しつけているだけでは……(笑)
卓也:ハハハ! 感動して泣くところですかね! 純粋ですね~。
有輝:それ魅力なの!?
卓也:怒るときは本気で「何だよ!!」と怒りますし、うれしいときは「よっしゃ!!」と全力で喜ぶ。自分は喜び以外の感情を押し殺してしまいがちなので、喜怒哀楽の感情が豊かなのは本当に魅力だと思います。