――香取さんが当日に現場で台本を覚えるようにしている理由を教えてください。

香取:苦手なので(笑)。宿題をやりたくないみたいな感じでギリギリまで読まないだけです。

――それで覚えられるのがすごいですよね。

香取:仕事としてやっていてお金ももらっているので、最終的には覚えられないとダメじゃないですか。でもギリギリまで見たくないっていう感じです。

――この覚え方は昔からですか?

香取:子供の頃はもう少し読んでいましたが、現場に行ったら違うこともいっぱいあって。座ってセリフを言うって想像していたのに、現場に行ったら「歩いてしゃべって」と言われて、どうしようってなることが子供ながらにあって、現場で監督の指示を受けたり、自分がどういう衣装かわかってから作ったほうがいいなという風になってきたのだと思います。想像の中でポケットに手を入れていたのに、ポケットがない衣装だったり。事前に作り込みすぎると修正が難しくなるので。

――本作では、ダンベルを持ち上げる筋トレシーンもあり、体が仕上がっているように感じましたが、事前に準備していたのでしょうか?

香取:何もしてないです。(現場で)言われたことをやっただけです。重いのを持ってって言われた通りに。

――普段から鍛えているわけではないんですね。

香取:何もしてないですね。大嫌いです(笑)。事前の準備は本当にしないので。

岸井:本当に持ち上げていてびっくりしましたが、何もやってないんですね。

――演じた役との共通点はありますか?

香取:我慢してこらえてしまうというか、うまく吐き出せなくて怒ったり涙したりというのは似ているのかなと。我慢できない限界までいかないと感情を出せない。コイツのこと嫌いだって言っていますけど、優しく彼を見て共通点を探したらそこかなと思います。

岸井:私はSNSに悪口を書いたりしませんが、ためこんでしまうのはわかりますね。2人は感情をぶつけ合う場面がありますが、私はためこんで出口がわからなくなるタイプです。

――吐き出せずにたまってしまったらどうするのでしょうか。

岸井:好きな映画を見て発散します。でも、実際には自分自身の問題が解決していないと、消化不良だなと思うときもあります。

香取:主人公に投影しているのね。

岸井:しているんですけど、根本的な解決にはなっていないなと。