連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか)で、ヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜)の元同僚・矢作知洋役を演じている井之脇海。共に働いていた頃の矢作は、暢子をライバル視し、妬みの感情をあらわにしていたが、後半ではかなり立ち位置が変わり、暢子をサポートする側に回ることに。井之脇自身は矢作の変化や成長をどう受け止めたのか?

  • 『ちむどんどん』矢作知洋役の井之脇海

矢作は暢子が勤めるリストランテ「アッラ・フォンターナ」で共に働いていた同僚だったが、突如、店を辞め、姿を消す。その後、久しぶりに店に姿を現すも、夜に店の売上金や「登記済権利証」を盗み出すという悪事を働き、再び消息を絶つ。

少しインターバルを置いて再登場となった井之脇。「実際に撮影現場にも2カ月ぐらい間が空いての参加で、矢作がいない間に暢子が成長し、和彦と結婚したりと、いろんなことがあったので、最初はちょっと戸惑うこともありました。でも、矢作自身もきっとそうだったんだろうなと感じ、その気持ちを上手くリンクさせて活かせたらいいなと思いながら演じました」

井之脇は、その間の矢作について「きっと矢作は、フォンターナを辞めた後に自分の店を持って、それが全然上手くいかなくて、お金もなくなり、日雇いの仕事をやっていって、どんどん落ちぶれてしまったというか、挫折を味わったのではないかと。その過程は実際にお芝居で表現するわけではないので、そこをどれだけ想像して準備するかということは少し大変でした」と述懐。

矢作は暢子と出会った当初、オーナーの大城房子(原田美枝子)の親戚である暢子に、初めはやっかみを感じていたが、井之脇は2人が共に働いたことで、実はお互いに理解しあっていったのではないかと考えた。

「最初に何も分からず、先輩に失礼なふるまいばかりをしていた暢子が、こつこつと学んでやっていく姿を、矢作は一番そばで見ていた人でもあります。暢子の根性の強さや、いろんなものを吸収しようとする姿を見ていて、矢作は暢子をどこかで認めていったと思いますが、素直じゃないので、そこは態度では表せない。きっと修業をしていた頃の自分と暢子を重ねていたところもあっただろうし、段々信頼していったのでしょうね」

事件を起こして失踪した矢作と暢子は再会。「再び暢子と出会った時、まさか暢子から『一緒にお店をやろう』なんて言ってもらえるとは思ってなかったから、ものすごくうれしかったと思います。でも、やはり自分のプライドがあり、すぐに『はい、やりたいです』とは言いたくても言えなかった」

その後、紆余曲折を経て、矢作は暢子が開いた沖縄料理の店「ちむどんどん」で働くことに。「またもや矢作は、新しい店でも暢子に対してツンケンしてしまいますが、それはフォンターナ時代の態度とはやっぱり違うんです。僕自身も矢作の成長を感じながら演じているので、これまでとはどこか違ったふうな見え方になっていればいいなあと思いました」