■「まるふく工務店」の世界観を作ったキャストたちの魅力

――ここからは、そんな愛されるキャラクターたちを演じている役者さんについてお伺いします。まずは“梅玄コンビ”を演じた波瑠さんと間宮さんのタッグについて教えてください。

初めて屋台のシーンを撮ったとき、「これが梅玄コンビの空気感なんだな」と逆に掴ませていただきました。ちょっとした表情や目線、台詞の延長線上にあるアドリブで2人の自然なバディ感がどんどん強くなっていって、最終的には波長ぴったりの素晴らしいコンビぶりを見せてもらいました。その2人が中心にいる「まるふく工務店」には吉野北人さんのような若いキャストもいれば、遠藤憲一さんや近藤芳正さんみたいな大ベテランの方たちもいるんですけど、上田さんが書かれた台本をベースに「皆が自由にお芝居していいんだよ」っていう空気があるんですよね。だから序盤の早いうちからグルーブ感やチームワークあふれる仲のいい「まるふく工務店」という魅力的な世界観が出来上がっていった。それは中心にいる波瑠さんと間宮さんのおかげで、台本以上のものが生まれるってこういうことなんだと感謝しています。

――改めて、波瑠さんの魅力を教えてください。

凛とした強さとチャーミングさを兼ね備えている女優さんで、今回は波瑠さん自身の「嘘のない正直な方」という魅力が小梅にも投影されていたと思います。そしてワードチョイス含めコメディセンスが抜群で、大げさにならずに嫌味なくやってのける力があるんだなと感銘を受けました。6話の屋台でミコトと玄之介がハイタッチしたときに小梅が1人でハイタッチするシーンがあったのですが、あれも波瑠さんがご自分で産み出されたもの。コメディモンスターのベテランおじさまたち(笑)の中にいても、埋もれず光るお芝居をしてくださいました。一方で感情をあらわにするお芝居も素晴らしい。予告映像でも流れているのですが、最終回で涙を流すシーンは現場の空気が一変しました。ぜひ見ていただきたいです。

――続けて、間宮さんの魅力も教えてください。

間宮さんとご一緒するのは3作品目ということもあって、最初から大きな信頼感を持っていました。間宮さんご自身は男らしい方なのですが、柔らかさや優しさ、自分の弱さを認めて前に進める素直さやかわいさのある玄之介を作り上げてくれて、ちょっと甘い部分を持ったキャラクターも恥じることなく演じられる俳優さんになられたんだなと。今回は皆さんのお芝居を“受ける”ことが多かったですが、間宮さんは瞬発力の高さが異常。どこからどんな球が飛んできてもヒットかホームランを打てる力を持ってらっしゃるんです。玄之介の受け止め方によって小梅がどんなキャラクターに見えるかも変わってくるので、そういった意味では天才キャッチャーでもありました。玄之介が同じ目線で柔らかく受け止めてくれるから、小梅がバリバリ仕事のできるキツい女性にならず人間味あふれるチャーミングなキャラクターになった。間宮さんの底知れぬ力を感じました。

――そんな玄之介の弟・竜之介役を演じた吉野さんは今回がゴールデンプライム帯初レギュラーでしたが、現場での印象を教えてください。

吉野さん自身とても素直でまっすぐな方で、役に一生懸命に取り組んでくださるピュアな姿が印象的でした。びっくりするくらい人見知りなんですけど、頑張ってまるふくのメンバーやスタッフに話しかけにいく姿がとても愛らしくて。序盤戦は緊張しすぎていてどうしようと思っていたのですが(笑)、まわりのキャストスタッフにあたたかく見守られて、のびのびお芝居できる環境の中で少しずつ役を掴んでいかれたのではと思います。お芝居を頑張りたいという思いが皆に伝わっていて、その一生懸命さが竜之介と上手くリンクしていたなと感じました。

――原田泰造さん演じる有川さんもとても個性的なキャラクターでした。

このドラマに登場するキャラクターは皆それぞれに事情があって、有川も根っこからサイコパスというわけではなく、ちょっとしたことがきっかけでボタンを1つ掛け違えて悪い方向にいってしまった、そんな残酷な運命を辿っています。有川率いるグローバルステラDホームの“スクラップアンドビルド”と、まるふくの“リノベーション”の結末はもちろん、有川がどうなるのかも注目していただければ。

■キャラクターたちが笑っている姿に泣けるようなラストを

――最後に最終回の見どころを教えてください。

梅玄コンビの行方は一番の見どころだと思います。9話まで積み上げてきた2人のラストには私たちにもあふれる思いがありました。視聴者の皆さまにも見届けてほしいです。そしてもちろんまるふくのワチャワチャにも会いに来てほしいですし、それぞれの登場人物の未来がどうなっていくのかもぜひご覧ください。最後は、キャラクターたちが笑っている姿にどこかホロリと泣けるようなラストになったら素敵だなという思いで作りました。最後まで『魔法のリノベ』のキャラクターたちを愛していただけたらうれしいです。

■カンテレ岡光寛子プロデューサー
1989年生まれ、広島県出身。これまでのプロデュース作品に『姉ちゃんの恋人』『アバランチ』『TWO WEEKS』『エ・キ・ス・ト・ラ!!!』などがある。