――今回演じる小刀祢は、周りに事件や事故を呼び寄せる自称“不幸を呼ぶ女”という役柄でもありますが、ご自身はラッキーか、不幸かに大別すると、どちらに当てはまると思いますか?

この仕事を始めて順調にできているのは、ラッキーだなって思います。でも、その分苦しいときもあって、それは不幸というよりも、「私ってこの仕事に向いてるのかな」って定期的に思うことがあるんですよ。「さっきのお芝居、すごく嫌だったな」とか、「緊張しすぎてちゃんとできてないな」とか思ったりして、自分で消化できないのに消化しようとして、自分の心と向き合ってないなっていうことがあるんです。

――その中で、大きな挫折というのも経験したことはあるのでしょうか。

あります。何度かこの仕事を辞めようと思ったときも。大人に支配されてる自分がすごく嫌で、18歳のときに休んだことがあったんです。18歳って、友達とすごく遊びたいじゃないですか。だから、もう辞めても…って気持ちだったんですけど、今のマネージャーチームに代わって、自分が思ったことや、やりたいことを言えるようになったんです。そこから、「もっとこうやったらファンの人も喜ぶんじゃないか」とか、自分から発信していけるようになったので、今はすごく安定してますね。

――やはり義務化されるより、自分からやることが大事なんですね。

そうですね。マネージャーさんとはめっちゃケンカするし、すごく言い合いもするんだけど、親子みたいな感じで、気持ち的にすごく楽です。周りの同業者に聞いても、こういうタレントとマネージャーの関係性ってなかなかないと思うので、恵まれてるなと思いますね。こういうふうに思えるようになったのは、ちょっと大人になれてるのかなって思って、成長させてもらえましたね。

■田中圭と吉田鋼太郎の芝居を見て「貴重な経験」

――儀藤役の田中圭さんにお話を聞いたとき、山本さんのことを「テレビで活躍しているのも見ているので、実際に一緒にお芝居すると、『きっとこうなんだろうな』とイメージしてた通りでした(笑)」とおっしゃっていました。

(笑)。私、変わらないんですよ。普段もテレビに出てるときも、基本こんな感じです(笑)

――そんな田中さんの印象はいかがですか?

優しいです。それと、お酒の場で会ったときとは違くて(笑)、仕事場ではキリッとされて、儀藤さんになるときのオンとオフがすごいんですよ。監督の「よーい!」でまず猫背になって、「スタート!」で儀藤さんの声になる。普段の声から急に音を下げるので、ちょっと変なときもあるんですけど(笑)、セリフ覚えも含めて全部が完璧だから、そういうズコってなるところが見られるとうれしいです(笑)

――人間味があるんですね。

私は結構ダメダメなんで、尊敬します。(吉田)鋼太郎さんと田中さんのお芝居を見させてもらったときは、「うわー、すごいことを目の前でやってる!」と思って、貴重な経験をさせていただきました。

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――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、今作の見どころをお願いします。

私が演じる小刀祢は、常に一緒にいるバディーというより、儀藤さんが解決していく手助けをちょっとするというまた新しいスタイルの刑事モノです。儀藤さんの独特な解決の仕方とか、手の指の癖も面白いですし、ゲストの方々もいろいろ堤さんにムチャぶりされていると思うので、そこを本編で見るのが私も楽しみです。

小刀祢の謎が最終話にかけてだんだん解けていくので、そこも見どころですし、ゲストの奈緒さんも鋼太郎さんも、地元の同じ中学の先輩の松本若菜さんもキャラクターが濃い役で出演されているので、ぜひ見ていただければうれしいなと思います。

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●山本舞香
1997年生まれ、鳥取県出身。『鳥取美少女図鑑』Vol2に登場して反響を呼び、スカウトされる。2011年に大手広告のイメージキャラクターに抜てき。同年、フジテレビ系ドラマ『それでも、生きてゆく』で女優デビュー。近年の主な出演作は、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18年)、『東京喰種 トーキョーグール【S】』(19年)、『今日から俺は!!劇場版』、『とんかつDJアゲ太郎』(20年)、ドラマ『コタローは1人暮らし』、『ソロモンの偽証』(21年)、『デキないふたり』(22年)、『家政夫のミタゾノ』(同)ほか。9月17日にドラマ『死神さん2』がスタートするほか、日本語吹き替えに初挑戦した映画『ブレット・トレイン』が現在公開中。10月14日には映画『カラダ探し』が公開、10月20日から連ドラ初主演となる『Sister』(読売テレビ)がスタートする。