声優の仕事についても聞いてみると、「俳優業とは全然違ってわからないです。ディレクターさんに『これぐらいでいいですか?』と確認しながらやっている感じです。抑揚をつければいいというものでもないですが、いつもやっているお芝居のようにしゃべると抑揚がなさすぎて、僕らは顔や視線、雰囲気などでお芝居の何割かを構成していて、声は一部なんだなと感じます」と語る。

そして、「演じている人が違うから、自分はこうだけど、声を当ててみると全然違うということも起こります」と難しさを感じつつ、「声優の仕事で音に抑揚をつけるということは、俳優業に生かせると思いますし、勉強だらけです」と捉えている。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで知られ、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)で第67回アカデミー賞にて作品賞・監督賞を受賞したロバート・ゼメキス監督が手がけ、ピノキオを作ったおじいさん・ゼペット役をトム・ハンクスが演じている本作。

山本はアフレコ時に映像を見て技術の進化に驚かされたという。「CGとリアルな人間たちがこんなに混在しフィットしていて、おとぎ話ですけど、それをよりリアルに感じられる技術はすごいなと思いました」

続けて、「生身の人間が出てきて、そこに木でできたピノキオがいて、ジミニー・クリケットがいて、主要キャラクターが生身の人間ではないからこそ、心に響くのかなと思いました。人間が演じていると、僕だったら……と比べたりすることもあると思いますが、人間ではないと雑念を持たずにおとぎ話として見られるのかなと。良心で見られるというか、すんなりメッセージを受け取ることができると感じました」と話した。

本作の楽曲「星に願いを」にちなみ、今の願いを尋ねると、「みんなが健康でいられるのが一番かなと。早く世の中が落ち着いてほしいというのもありますし、この作品をたくさんの人に見ていただきたいというのもありますが、家族とか周りについてのことになりますね。特に欲しいものもないですし、自分の欲はあまりないです」と答える。

家族や周囲の人たちを原動力に、一つ一つの仕事と向き合っている今。「結婚でも変わりましたが、子供ができて大きく変わりましたね。今思うと、1人のときよくあんなに頑張っていたなと。自分のためにすごいなと、昔の自分をある意味尊敬しています」と笑っていた。

■山本耕史
1976年10月31日生まれ、東京都出身。1987年に日本初演の『レ・ミゼラブル』で舞台デビュー。以来、様々な舞台、ドラマで活躍し、2005年には『第56回NHK紅白歌合戦』の白組司会に抜擢された。主な出演に、ドラマ『ひとつ屋根の下』(93、97)、大河ドラマ『新選組!』(04)、『パンドラ』シリーズ(08~18)、映画『ステキな金縛り』(11)、『ギャラクシー街道』(15)、『シン・ウルトラマン』(22)、舞台『レント』(1998~2002)、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(07~09)、『メンフィス』(15、17)など。現在、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演中。

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