――世界中の人が視聴できる環境であることが一つの魅力ですが、日本のローカルコンテンツを作る際、世界中の人が視聴するということは意識されたモノづくりなのでしょうか?

世界の人が観るってどういうことなんだろうと考えたとき、やはりキャラクターの感情をしっかり落とし込んでいくことが重要だと思います。それさえしっかりできていれば、どんな国の方が観ても共感してもらえると思うので。その意味でどの国の人が観るかということはあまり意識していません。

――他国の作品を観ることが当たり前の世の中になったということなのでしょうか?

そうですね。それは先駆者である他のプラットフォームの方々が頑張ってくださったことが大きいと思います。いまや世界中の人々が他国の作品をボタン一つで観られるようになっています。そして順応もしている。昔アメリカ人は字幕なんて全然観ないと言われていたのですが、いまはインターナショナルコンテンツを字幕で観る人が増えていると聞きます。その意味で、ストーリーラインがしっかりしたものならば、どの国向けということは意識する必要はまったくないと思います。

――「スター」ブランドが配信されて、加入者の属性は変わってきましたか?

日本ではプレミアプラットフォームが占める割合は、世界的に見てもまだまだ低いです。その意味でまだまだ伸びしろがある。そういった状況なので、「スター」ブランドのコンテンツが配信されたからということで、お客様の属性に変化が見えてきたということはまだないと思います。

――日本のローカルコンテンツでディズニープラスに加入した方々は、観たい作品が配信終了したら退会してしまうということもあると思います。継続率という部分で意識していることは?

継続していただくための施策というのはいくつかあると思います。コンテンツ制作だと、例えば新作を作り続けるというのも一つの手段だと思います。もちろんそれができればいいのですが、数がノルマになるとクオリティが下がってしまう危険性があります。あくまで世に送り出す価値があるものという部分ではしっかりこだわらなければいけない。もう一つ、例えば『すべて忘れてしまうから』に興味を持って加入していただいた方が、他の作品にも興味を持っていただけるような作品の充実ということも大切なことです。その意味でテレビ局様の素晴らしい作品ラインナップなどは魅力のひとつになると思っています。

――先ほど「世に送り出す価値のあるもの」というお話がありましたが、2022年は3作品が日本のオリジナルとして独占配信されます。そのペースは今後も同じぐらい?

クオリティというのが最優先されることなので、具体的な数字は決まっていませんが、マーケットの需要は日々高まっていると感じているので、面白いものがあればどんどん提供していきたいとは思っています。

――たくさんある動画配信サービスのなか、ディズニーさんならではの強みは?

我々が常に意識しているのは、一度観ただけではもったいない、複数回観たくなる作品作りというものです。そのためには、いかにキャラクターが愛されるか。視聴者と一緒に旅をしたい人物になっているのか。そういったことに愚直に向き合うことが我々の強みかなと思います。

――ライバルはいますか?

我々にとってのライバルというのは、過去の自分たちですかね。これまで我々は愚直にコンテンツを作ってきた会社なので、昔よりも良いものを作りたいという思いしかない。他の動画配信サービスはライバルというよりは、共に市場を広げていくための存在です。もし全世界の人々がみなストリーミングサービスに入っているという状況になり、またどれか一社としか契約しないということになれば、ライバルになるのかもしれませんが、いまはより良いものを作って「この作品だったらお金を払ってもいいよ」と思ってもらえるものを作ることが一番大切なことだと思います。

  • 『シコふんじゃった!』10月26日より独占配信 (C)2022 Disney