東京理科大学(理科大)は8月31日、「細胞競合」によりがん変異細胞が排除されるためには、がん変異細胞内のリソソームの機能が障害されることによって、オートファゴソームが蓄積することが必要であること、つまりオートファジー(細胞自食作用)が、細胞競合を介してがん変異細胞を排除することを明らかにしたと発表した。
同成果は、理科大 生命医科学研究所の昆俊亮講師、同・明果瑠いるま大学院生らの研究チームによるもの。詳細は、ライフサイエンスを扱ったオープンアクセスジャーナル「Cell Reports」に掲載された。
がん化した細胞を排除する機能の1つに、隣接する正常上皮細胞たちががん変異細胞を認識し、寄ってたかって排除するという「細胞競合」がある。ただし、その制御を担う分子論的メカニズムの全容は解明されていないという。
一方、オートファジーは、細胞内の異常なタンパク質や小器官を分解・リサイクルする品質管理機構で、さまざまな疾患の発症に関与することが知られている。また、オートファジーは、がんの初期では抗腫瘍的に機能することがこれまでに示唆されてきたが、その機序についても不明であったという。そこで研究チームは今回、細胞競合におけるオートファジーの役割について、詳細な解析を行うことにしたという。