伊藤忠商事と大成建設は8月22日、豪州の「二酸化炭素(CO2)固定化技術」を研究・開発するスタートアップ企業Mineral Carbonation International(MCi)との協業に関する覚書を締結したことを発表した。
MCiは、2021年11月に英・グラスゴーでのCOP26に合わせて開催された、さまざまな脱炭素技術を有する2700社以上のスタートアップ企業同士が競ったピッチバトルにおいて優勝を果たした企業として知られている。
その技術は、製鉄工程で生じるスラグなどの副産物や、火力発電所で生じる石炭灰、鉱山において鉱物の回収過程で生じる副産物など、カルシウムやマグネシウムを含むさまざまな物質にCO2を固定させ、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムといった炭酸塩を製造するというものだという。
伊藤忠商事は2021年7月にMCiに出資、同技術の日本での展開を通じたCO2削減を目指す中、同技術の普及には炭酸塩の利活用の促進が重要と認識し、さまざまな用途での活用を検証することにしたという。そこで今回、コンクリート原料としての炭酸塩の活用につき、大成建設とパートナーシップを組んで検証を進めることで合意したとする。
コンクリートは、セメント、砂、砂利に水を加えて製造されるが、セメントの製造時におけるCO2の排出量は、全世界のCO2排出量の約8%を占めると見積もられている。
そうした中、大成建設では、独自のコンクリート技術である「T-eConcrete」シリーズの開発を進めている。そのうち「T-eConcrete/Carbon-Recycle」は、CO2を固定した炭酸塩をコンクリートに練りこみ、CO2をコンクリートに封じ込める技術だという。これにより、コンクリートのCO2排出量の削減に貢献できるとしている。