小型軽量の超広角ズーム「RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM」

一方、RF15-30mm F4.5-6.3 IS STMはスタンダードクラスのレンズでは初の広角ズームレンズ。しかも、15mmのワイド端はスタンダードクラスでもっとも広い画角であり、遠近感の強いダイナミックな表現が手軽に楽しめます。ちなみに、対角線画角は110°30'。目の前に広がる風景がすっぽりと画面に収められるほか、撮影者が後ろに下がれない場所での撮影も余裕で対応できそうです。テレ端30mmは見た目に近い自然な画角であるため、スナップ撮影などでも重宝すること請け合い。APS-CサイズのEOS Rシリーズでは、24mmから48mm相当のズームレンズとして、こちらも応用範囲の広いズームレンズとして活用してくれそうです。

  • スタンダードクラスのレンズとしてはもっとも広い画角を持つRF15-30mm F4.5-6.3 IS STM。これ1本あれば他のワイドレンズは不要、と言っても過言ではありません。フィルター径はφ67mm。こちらも発売は8月26日で、実売価格は85,800円前後

光学系は、ほかのRFレンズと同様に大口径マウント、ショートバックフォーカスを活かしたもの。この光学系の特徴といえば、いわゆる後玉が同クラスの一眼レフ用のレンズよりも大きいことが多いのですが、本レンズも例外ではありません。11群13枚とするレンズ構成のなかには、RFレンズのスタンダードクラスの定番ともいえるUDガラス2枚とPMo非球面レンズ1枚を配置。ズーム全域で色収差の発生を抑え、隅々までエッジの立った写りが得られます。また、同じくカメラのレンズ光学補正機能によりディストーションや周辺減光も良好に補正され、総合的にどの焦点距離でも写りに不足を感じることはありません。厳密に見ていくと、Lレンズとの写りの違いはあるのかもしれませんが、パソコンの画面などで拡大率50%程度の大きさで閲覧する分にはその違いを見極めるには難しいように思えます。

  • RF15-30mm F4.5-6.3 IS STMのマウント側。ショートバックフォーカスを活かした光学系を採用しているため、後玉がひときわ大きく感じられます

  • レンズ側面のスイッチ。AF/MF切換えスイッチはなく、代わりにリング機能切換え用のFOCUS/CONTROL切換えスイッチが備わります

マニュアルフォーカスに限定されますが、15mmのワイド端では撮影倍率0.52倍、最短撮影距離0.128mでの撮影が可能としているのも本レンズの見逃せない部分。強い遠近感を活かしたマクロ撮影が楽しめます。なお、AFでは0.28m(15mm時)となります。鏡筒は、超広角域をカバーするフルサイズ対応の広角ズームとしては軽量コンパクトに仕上げられ、総合的に隙のないレンズに仕上がっています。

  • ワイド端15mm(左)とテレ端30mm(右)の画角比較となります。ワイド端の画角は圧倒的で、目の前の風景すべてが写り込んでしまうように思えるほど。両画角とも、画面周辺部まで高い解像感を誇ります EOS R5・RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/500秒)・ISO100・WBオート・JPEG

  • ワイド端15mmでの撮影。ディストーションや周辺減光の発生は見当たらず、良好に補正されていることが分かります。画面周辺部の写りも不足を感じません EOS R5・RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/500秒)・ISO100・WBオート・JPEG(焦点距離15mmで撮影)

  • 焦点距離はテレ端30mm。日常使いやスナップ撮影などに出番の多い画角となります。遠近感もナチュラルで、写真を見る限り見た目に近いものとなります EOS R5・RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/80秒)・ISO800・WBオート・JPEG(焦点距離30mmで撮影)

  • 焦点距離15mmならこんなダイナミックなアングルでの撮影も可能。画面上の真ん中付近にゴーストが見受けられますが、太陽光によるもので、広い画角ならではといえます EOS R5・RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/200秒)・ISO100・WBオート・JPEG(焦点距離15mmで撮影)

  • 新宿西口のロータリーにぽっかりと開いたクレーターの中から高層ビル街にレンズを向けました。焦点距離18mmでもクレーターがすっぽりと画面のなかに入ってしまいます EOS R5・RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/500秒)・ISO100・WBオート・JPEG(焦点距離18mmで撮影)

  • 焦点距離は24mm、絞りは開放に近いF5.6での撮影です。白いテーブルのエッジも鮮明でサジタルコマフレアの発生は見受けられません。その周囲も含め、すっきりとした写りです EOS R5・RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF5.6・1/800秒)・ISO100・WBオート・JPEG(焦点距離24mmで撮影)

  • 焦点距離30mmで撮影。適度な遠近感で、画角も含め使いやすく感じられます。スタンダードクラスのワイドレンズとしては大柄な鏡筒ですが、カメラとの重量的なバランスもよいように思えます EOS R5・RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8.0・1/250秒)・ISO100・WBオート・JPEG(焦点距離30mmで撮影)

  • 焦点距離はテレ端30mm、絞りは開放のF6.3での撮影です。ぐっと被写体に寄って、焦点距離30mmでの最短撮影距離で撮影しています。ボケは自然な印象です EOS R5・RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF6.3・1/2050秒)・ISO100・WBオート・JPEG(焦点距離30mmで撮影)

ラインナップの充実してきたスタンダードクラスのRFレンズ。Lレンズと比べても写りに大きな違いはなく、コストパフォーマンスに優れたレンズといえるでしょう。唯一厳しいことがあるかなと思えるのが、防塵防滴構造を採用していないことぐらい。EOS Rシリーズの人気を考慮すると、スタンダードクラスのレンズはこれで終わりでなく、今後も更なる展開をメーカーは考えていることと思われます。個人的には、対角線タイプのフィッシュアイレンズや、中望遠域から200mm前後までをカバーする望遠ズームが加わればいいなぁと密かに考えていますが、いかがでしょうか。