小型軽量の超広角ズーム「RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM」
一方、RF15-30mm F4.5-6.3 IS STMはスタンダードクラスのレンズでは初の広角ズームレンズ。しかも、15mmのワイド端はスタンダードクラスでもっとも広い画角であり、遠近感の強いダイナミックな表現が手軽に楽しめます。ちなみに、対角線画角は110°30'。目の前に広がる風景がすっぽりと画面に収められるほか、撮影者が後ろに下がれない場所での撮影も余裕で対応できそうです。テレ端30mmは見た目に近い自然な画角であるため、スナップ撮影などでも重宝すること請け合い。APS-CサイズのEOS Rシリーズでは、24mmから48mm相当のズームレンズとして、こちらも応用範囲の広いズームレンズとして活用してくれそうです。
光学系は、ほかのRFレンズと同様に大口径マウント、ショートバックフォーカスを活かしたもの。この光学系の特徴といえば、いわゆる後玉が同クラスの一眼レフ用のレンズよりも大きいことが多いのですが、本レンズも例外ではありません。11群13枚とするレンズ構成のなかには、RFレンズのスタンダードクラスの定番ともいえるUDガラス2枚とPMo非球面レンズ1枚を配置。ズーム全域で色収差の発生を抑え、隅々までエッジの立った写りが得られます。また、同じくカメラのレンズ光学補正機能によりディストーションや周辺減光も良好に補正され、総合的にどの焦点距離でも写りに不足を感じることはありません。厳密に見ていくと、Lレンズとの写りの違いはあるのかもしれませんが、パソコンの画面などで拡大率50%程度の大きさで閲覧する分にはその違いを見極めるには難しいように思えます。
マニュアルフォーカスに限定されますが、15mmのワイド端では撮影倍率0.52倍、最短撮影距離0.128mでの撮影が可能としているのも本レンズの見逃せない部分。強い遠近感を活かしたマクロ撮影が楽しめます。なお、AFでは0.28m(15mm時)となります。鏡筒は、超広角域をカバーするフルサイズ対応の広角ズームとしては軽量コンパクトに仕上げられ、総合的に隙のないレンズに仕上がっています。
ラインナップの充実してきたスタンダードクラスのRFレンズ。Lレンズと比べても写りに大きな違いはなく、コストパフォーマンスに優れたレンズといえるでしょう。唯一厳しいことがあるかなと思えるのが、防塵防滴構造を採用していないことぐらい。EOS Rシリーズの人気を考慮すると、スタンダードクラスのレンズはこれで終わりでなく、今後も更なる展開をメーカーは考えていることと思われます。個人的には、対角線タイプのフィッシュアイレンズや、中望遠域から200mm前後までをカバーする望遠ズームが加わればいいなぁと密かに考えていますが、いかがでしょうか。