連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか)で、黒島結菜演じるヒロイン・比嘉暢子が勤めるレストランのオーナー・大城房子役を演じ、味わい深い存在感を発揮している原田美枝子。まさにベテラン女優の風格と気品が投影されたハマリ役となったが、原田は役柄同様に、黒島に温かい目線を送っているようだ。

  • 『ちむどんどん』大城房子役の原田美枝子

『ちむどんどん』は、今年本土復帰50年を迎えた沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかけるヒロイン・暢子ら4兄妹の奮闘を描く物語。暢子が勤めるイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」のオーナーである房子は、暢子を一流の料理人へと導く師のような存在で、親戚でもある。房子は17歳で屋台から始めた、たたきあげの苦労人で、イタリアでの修業経験もあるという料理や食文化に精通している才媛だ。

房子について原田は「房子のかっこいいところは、あまり過去を引きずらないところです。また、自分の考え方を全部通すのではなく、『あなたはどう思うの?』と、相手が自分自身で考えたことを尊重するところ。相手が『自分はこう思う』と、はっきり何かをつかんだものに対しては、ちゃんとフォローしていくんです。暢子は独立を考えていくことに。房子は内心、フォンターナを継いでほしいと思っているけど、そこも言わない。寂しいくせに反対の態度をとるんです」と述懐。

そういう房子の言動には大いに共感できるという原田。「やはりそれは、プロの料理人としての誇りから来るものかなと。料理人として屋台から頑張って築き上げてきたことに、房子は誇りと自信を持っているだろうし、暢子もそういう房子をずっと見てきたと思うので。暢子だけではなく、店で働く人たちに対しても、そういう料理人であってほしいと伝えてきたんだと思います」

房子は、鶴見の沖縄県人会会長・平良三郎(片岡鶴太郎)と結婚の約束をしていながらも果たせず、その時に生涯独身を貫く決意をしたとか。そんな房子に恋い焦がれ、求婚して断られたあとも、ずっと献身的な愛情を注いできたのが、フォンターナの料理長・二ツ橋光二(高嶋政伸 ※高ははしごだか)だ。高嶋と原田は、NHKの金曜時代劇『新・腕におぼえあり よろずや平四郎活人剣』(98)以来の共演となった。

「2人で剣術の試合をするシーンがあり、高嶋さんはすごい殺陣をされていたんです。一緒に立ち回りをするんですが、私はどうやっても三手しか覚えられなくて(笑)。また、私の殺陣を高嶋さんが受けてくださるんですが、何回か当たってしまったんです。その時『大丈夫ですか?』と聞くと、『はい! 男の子ですから』と我慢してくれました。そういう共演経験もあったのですが、今回も本当に二ツ橋さんに救われてるなと思います」と高嶋に感謝する。

房子の前では常に冷静な二ツ橋だが、暢子との飲みの場では酔っ払って「房子に片思いした先輩の話」と偽り、自身の失恋エピソードを明かすシーンが何度か描かれた。原田は「房子としては、直接そういう二ツ橋さんの姿は見てないわけなので、私はオンエアで観ていますが、すごく楽しくて(笑)。その話を聞いていると、二ツ橋さんはとてもいい人で、房子のことを好きで、大事に思っているんだなとひしひしと感じるので、『本当にありがとうございます!』という気持ちで観ています」とおちゃめに話した。