■さんま、ダウンタウン、千原兄弟を笑わせることが目標
ある意味で欲がないように感じられる大城。彼の芸人としてのモチベーションはなんなのだろうか――。
「僕にとって恩人である千原兄弟さん、さらに素人のときからの憧れであるダウンタウンさんや明石家さんまさん、いまこのお三方とお仕事をご一緒しているということが、自分でも信じられないことなんです。そんな方々を僕のギャグで笑わせることができたら……こんなに幸せなことはないですし、大きな目標です。まあ『水曜日のダウンタウン』は笑かしているというよりはドッキリ仕掛けられているだけですが(笑)」。
『水曜日のダウンタウン』のリアクション一つをとっても、これまでの大城の経験は大いに役に立っているという。
「まあ雑草魂ではないですが、僕がイジメられていた学生時代の経験が、いろいろなところで活きていると思います。もし尼崎でイジメられた青春時代ではなく、田園調布などで平々凡々に暮らしていたら、こうはなっていなかった。その意味で、昔の自分を肯定できるというのはお笑いという仕事の素晴らしさなのかなとも思うんです」。
イジメにより、お笑いのラジオが拠り所になっていた幼少期。素人として出た番組でダウンタウンと出会い、さらにNSCに入学したことで、千原兄弟とも接点ができた。そのときはまったく先に繋がらなかった事象だが、俯瞰でものを観ると、すべてがいまの大城に繋がっている。
「本当にそう考えると人生って不思議ですよね。中学生のときNSCに入ったときは、挫折して辞めてしまいましたが、それがなければせいじさんに後々声を掛けてもらえることもなかったと思うと、梅田花月に行ってNSCの募集を見たときから、すべてが始まっていたんだなと思います」。
■映画化するなら――理想のキャスティング像を明かす
ドラマチックな人生を送っている大城。本の帯には、千原ジュニアが「即映画化。」と寄せている。
「僕は映画が大好きなので、映画化されたらうれしいですね。僕の役はウエンツ瑛士くんで。まあほかにも仲野太賀さんや濱田岳さんとかでも(笑)。千原兄弟役は背が高いので、長瀬智也さんとか松岡昌宏さんで(笑)。あと監督はインタレスティングたけしさんで。インディーズ映画2本撮っていますからね」。
大城自身、吉田恵補監督の映画『空白』への出演もある。『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督とも面識があるという。
「以前内田監督とご一緒させていただいたとき『大城さんは、真顔で包丁を持って表情変えずに刺しまくるような役が合うかも』と言ってくださったんです。そのときは『2秒でいいから監督の映画に使ってください』とアピールしたのですが(笑)」。
「賞レースも出られないので」と自嘲気味に語った大城だったが「これからもギャグをいっぱい作って、やっぱりさんまさんやダウンタウンさん、千原兄弟さんを笑わせたい。おっさんにしかできないことをやっていきたい」と意気込みを語ると「役者としてもぜひやっていきたいです!」と熱い思いを吐露していたい。
本名は大城文章。1975年1月22日生まれ、兵庫県尼崎市出身。1989年、中学3年で大阪NSCに入るが退所し、定時制高校に通う。1994年、再び大阪NSCに入るも、また退所。上京後、地下芸人時代を経て、2018年3月よりデビュー時に所属していた吉本興業に復帰。座右の銘は「おまえ、その執念、忘れるなよ」。