また、笑ってもらうためにも「役者以外の仕事においては、とにかく楽しむことしか考えていない」ときっぱり。「僕が楽しんでいるところを見て人々が楽しんでくれると思っているので、バラエティに関しては僕がどれだけ楽しめるかだと思っています」と明かした。
北海道テレビ制作のバラエティ番組『水曜どうでしょう』をきっかけに全国区の人気者になった大泉。「芸人さんという形をとらなかったですが、僕は運がいいことに今の仕事がなんとなくやれた。大学時代にやったアルバイトの延長戦で『水曜どうでしょう』という番組が始まったものだから。芸人になるんだという強い信念でなったわけではないわけですが、今のメディアへの出方が僕には一番向いていたんだろうなと。ラッキーだったと思います」
そして、北海道で活動していく中で、バラエティだけではなく俳優業への思いも増していったという。「人を笑わせたいという思いだけで10年間やっていたけれど、毎日同じことをしているとどこか飽きてしまう自分もいて、モノを作りたいという衝動も同じく僕にはあるのかなと。バラエティで瞬発的に人を笑わすことと、時間をかけてドラマ、映画、舞台を作っていくことと、両方やりたいんでしょうね」。そして東京進出後、俳優としても存在感を増していった。
ちなみに、「笑わせたい」という欲求は、「本能としか言いようがない」とのこと。「物心ついたときには人を笑わせたいとしか思ってなかった。保育園に通っていた頃から、同じ年の子供たちというより、大人が笑ってくれることがうれしい子供でした。みんなが夢中になっていた昆虫採集やプラモデルには全然興味がなく、延々とバラエティを見ていて、親からは『テレビばっかり見るんじゃない』しか言われていませんでした(笑)。子供の頃から落語も好きでしたし、そうやってどんどん吸収していったのだと思います」と振り返る。
NHKの音楽番組『SONGS』で“責任者”という番組の顔を務め、『NHK紅白歌合戦』で2020年と2021年に司会を担当。そして、『ザ・マスクド・シンガー』でも2年連続で司会を務めているが、「司会をすることに慣れたくない」と言う。
「僕は司会者だけをやっていきたいという思いがあるわけでもないので、司会者として上手になりたいとも思わない。不慣れなところも笑ってもらえるんだったらそのほうがいいのかなと。僕が司会をすることは、イレギュラーでどこか特別でありたいと思っています」
また、俳優以外の仕事をやることは、俳優にとってはいいことではないと考えているものの、大泉にはそれ以外の仕事もなくてはならないのだという。
「同じことをずっとやっていると疲れてくるというか、役者で使う脳とは違うものをバラエティで使っているからいいのかなと。役者をやる上では本当は、役者以外の姿を見せることでイメージをみんな持ってしまうのでいいことではないと思いますが、役者だけをやっていると違うことをしたくなってしまう。やっぱり人を笑わせたいという気持ちが強い人なので」