■プライベートは“怖いもの一切NG”

――映像作品が続いていますが、舞台と映像の違いはどこに感じますか。

直接目で見られる舞台と違って、映像はカメラを通して見せる画になるので、見え方の違いが面白いなと思います。

――見え方を意識しながら演じるのは難しいですか。

難しいです。撮影のとき須賀(健太)さんは監督みたいに「ここからこうやって撮ってるから、こんな画になるな」と仰っていることがあって、「今どんな画になっているか」を想像することで、表情や立ち位置を自分で自然に計算できるようになるんだと気づきました。これまでは演じることに必死でそこまで考えが至らなかったのですが、今少しずつ見え方をお勉強できているのが楽しいです。

――ホラー作品での「生首が落ちてくる」「おばけが現れる」といった恐怖を感じるようなシーンはどんな気持ちで撮影されていますか。

あくまで作り物か、人が演じているものなので、私としては「1、2、3で振り向いて4で落ちてきてキャー!」といった作業になっています(笑)。照明をつけたり消したりと、スタッフさんとのタイミングをあわせるのが重要ですね。視聴者の方に「怖いな」と思ってもらえるように演じています。

――ホラー作品を見るのは好きですか。

見ないです。

――(笑)。

怖そうな番組が流れた瞬間にテレビを消してしまいます。1人で家にいるときは怖くてお風呂に入れなくなってしまいますし、昔からお化け屋敷も大の苦手。プライベートは“怖いもの一切NG”です。撮影になるとどんなものでも物や人だと認識できるので平気です。

■怖さの中にドラマがあるからホラー作品は魅力的

――では出演する側として、ホラー作品全体の魅力をどのように感じていますか。

ホラーもファンタジーの一種だと感じています。世の中にはおばけが見える人もいますが、おばけが見える人は悲鳴なんて上げてなくて、「キャーッ!」と叫んでいるのは心霊スポットに行く若者なのかなと。きっと悲鳴を上げることで、「心霊スポットに行って怖かった」が「この仲間と行って楽しかった」に変換されて日常生活の彩りになるんですよね。ホラー作品も「怖かったけどドキドキした」とか、「一緒に見た人と怖さを共有できて楽しかった」とか、怖いだけで終わらない、怖さの中にドラマがあるからこそホラー作品は魅力的なんだと思います。

■最近体験した日常生活での“ホラー”

――最近生駒さんが日常生活で恐怖を感じた出来事や体験を教えてください。

ここ数日は撮影が朝から晩まで続いているのですが、どこか元気な自分の体調がホラーかもしれません。「なんで疲れないんだ」って(笑)。でもスタッフさんのほうがもっと朝早くて夜遅いんですよね。役者は出番のないシーンは休めますが、スタッフさんなんてずっと動かれていて、みなさんのその体力がホラーです(笑)。

――視聴者の皆様へメッセージをお願いします。

キャストの仲の良さが画面ににじみ出ていて、劇団員がワイワイしているシーンはすごく楽しいものに仕上がっていると思います。「仲間といろんなことをやり遂げる」ということが再開されてきた時期でもあるので、自分自身を投影しながら見ていただけたらうれしいです。暑い夏にホラー作品を見て“冷えっと”してください。

■生駒里奈
1995年生まれ、秋田県由利本荘市出身。 乃木坂46ではデビューシングルから5作連続でセンターを務め、2018年に同グループ卒業後は舞台やテレビドラマ、映画などで活躍中。NHK Eテレ「ストレッチマン・ゴールド」にマイマイ役でレギュラー出演中で、昨年には舞台『僕とメリーヴェルの7322個の愛』で初のひとり芝居に挑戦。日本テレビ系ドラマ『真犯人フラグ』では謎の女・本木陽香役として出演し、その怪演が話題を呼んだ。2022年9月より、東京・日生劇場で上演される舞台『夏の夜の夢』への出演も控えている。衣装協力/Y's、津野真吾(impiger)
■ABCテレビ『OTHELLO(オセロ)』(ABCテレビ24日スタート毎週日曜24:25~、テレビ神奈川26日スタート毎週火曜23:00~※TVer・GYAO! にて第1話配信中)
『リング』『貞子』シリーズで「ジャパニーズホラー」というジャンルを確立した鈴木光司氏による完全オリジナル作品。看板女優の山口麻依(生駒)をはじめ劇団員たちは東京公演を間近に控え、寝る間も惜しんで稽古に励んでいた。劇団の代表作「DICE」(ダイス)は10年前に初演を行い、劇団にとって初の東京進出を果たした思い出深い作品のため座長の気合いも入っている。そんな中、麻依は劇団事務所の資料庫で初演時の練習風景を収めた1本のVHSビデオテープを発見。そこには病でこの世を去った元女優・麻依の姉である真理子(生駒・1人2役)の姿もあった。その映像を見た途端、麻依たちの周囲では不可解な怪奇現象が起こり始める。