昔ばなし「桃太郎」をモチーフに、かつてないほど個性豊かなヒーローたちが異色のチームを組んで活躍する『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』がいま、大評判である。
ドンモモタロウ/桃井タロウを筆頭に、クセの強いキャラクターたちそれぞれに複雑な背景や謎めいた過去が用意され、人類の脅威となる「脳人(ノート)」や、人間から生まれる「ヒトツ鬼」との戦いと並行しながら予測不能なドラマが毎回展開する。
2022年7月22日には、待望の映画『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』が公開され、ノリに乗っているドンブラザーズ。マイナビニュースでは今回、「ドン王家の末裔」という出生の秘密こそ明かされたもののいまだ謎の多いドンモモタロウ/桃井タロウを演じる樋口幸平に単独インタビューを敢行。ありとあらゆることを完璧にこなす一方で、人間の繊細な心の動きをまるで理解しない難点もあるタロウを、見事自分のものにしている樋口から、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』前半のふりかえりと、映画にかける強い意気込みを聞いた。
――3月の放送開始から4か月が過ぎようとしている中、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は毎回まったく先の読めないストーリー展開で、ファンの注目を集めています。ドン13話「さよならタロウ」では、ウソがつけないというタロウの特性を利用した脳人ソノイ(演:富永勇也)の攻撃で、タロウが完全に消滅したのには驚かされました。
ドン15話「おかえりタロウ」でタロウが復活できましたが、あのラストシーンではるか(オニシスター/演:志田こはく)と再会したときの演技には特に力を入れました。今まで「お供」として接してきたはるかに、やっと「信頼」の感情を見せたところでしたから。あそこで、今までにないタロウの気持ちを出してもいいんじゃないかと、渡辺勝也監督と相談しながら作っていきました。タロウが消滅したときは、SNSでの反響がすごかったですね。ドン13話、14話「みがわりジロウ」が放送されている間、あえて発言には注意していました。ドン15話のオンエアのあと「ただいま!」とコメントしたらすごくいい反響が返ってきて、タロウが愛されているんだなあと実感できました。
――生まれつきどんなことでもできる一方、万能すぎるゆえに平凡な人間の細やかな気持ちが理解し辛いというタロウを演じることで、樋口さんとしてはどんな思いを抱かれていますか。
最初のころからキャストのみんなに「タロウに似てるよね」って言われてたんですよ。最初は、それ褒めてるのかな?って思いましたけど(笑)、今だとよくわかります。タロウは「こういう人間になってみたい」と思わせる、ある種「理想の人物像」なんです。井上敏樹さんの書かれた脚本を毎回読むたびに思いますが、タロウってカッコいいんですよね。現実離れした人物だからこそ、魅力を感じています。普段は感情を表に出すことがないですが、自分が大事だと思った人には熱い内面を見せる。その一方で、タロウのことをよく知らない人からは「そっけない奴だ」と誤解される場合もあるんです。ダメなところもたくさんありますけど、ウソがつけないといったオチャメなところも含めて「カッコいい」タロウをどんどん表現していきたいと思っています。
――さきほどSNSのお話が出ましたが、オンエアの反響などはよくチェックされるのですか。
こまめにチェックするようにしています。自分たちの芝居をほめてもらったりするとうれしいですし、作品そのものが面白いとか、感想を言ってもらえるのが何よりもありがたいです。ドンオニタイジンの玩具がすごい人気だと聞いたときもうれしかったです。プロデューサーの白倉伸一郎さんが「過去最高レベルだよ」ってデータを見せてくださったのですが、そういった反響の大きさを知ると僕たちの自信にもつながりますし、励みになります。
――作品中ではてんでバラバラなドンブラザーズのメンバーたちですが、キャストのみなさんとはよいチームワークを築かれているそうですね。
いつも5人が一緒の現場になるわけではないですが、控室でみんな一緒にいるときは、ずっといろいろなことについて話していますね。撮影が終わって時間があるとき、男子キャストの柊太朗(イヌブラザー/犬塚翼役)や(別府)由来(サルブラザー/猿原真一役)、ヒロさん(鈴木浩文:キジブラザー/雉野つよし役)を誘ってサウナに行くのが、僕にとっていちばんのリフレッシュなんです。
――志田こはくさんのお誕生日(5月25日)にはメンバーが結集してお祝いをされていた様子もアップされているのを拝見しました。
こはくの誕生日みたいに、何かイベントがあるとみんなパッと集まったりして、いい仲間に恵まれているなあって改めて思います。
――変身後のドンモモタロウについて、タロウのときは必要以上に言葉を発しないのに対し、アバターチェンジをしたら超ハイテンションになるという、人格の変化には強烈なインパクトがありました。神輿に乗って派手に登場するドンモモタロウの声の演技についての苦労などがあれば教えてください。
毎回「やあやあやあ! 祭りだ祭りだ!」って出てくるでしょう。何度もやって少しずつ自分のものにはしているつもりですけど、早朝の撮影所に来て、いきなりあのテンションになるのはちょっと無理というか、いきなりエンジンをかけてあそこまで持っていく作業が追い付かないときがあります。
また、1日かけてロケ撮影が終わり、これからアフレコがありますってとき、さすがに疲れているのでバスで寝ていて、起きたらすぐ「ワーッハッハッハ!」とやらないといけないのが大変ですね(笑)。少しでもテンションが低かったら、すぐに監督から指摘されますから。いかなるときでもドンモモタロウのテンションに持っていけるよう、意識しながらやっています。
――富永勇也さん演じるソノイとタロウのライバル関係がどうなっていくのかも、今後気になるところですね。
富永くんとは普段から仲良くしていて、ドン13話の撮影前日にはお互い連絡を取り合って「明日は頑張ろうぜ!」と話していました。常にソノイとタロウやりとりをするシーンでは、2人で相談し合いながら芝居を組み立てていますので、タロウとソノイの人気が高まってきているのはありがたいです。これからも2人の動きに注目してほしいですね!