俳優の市村正親が、映画『ミニオンズ フィーバー』(7月15日公開)の日本語吹替版で、主人公グルーが敬愛する悪党ワイルド・ナックルズ役を演じた。「出演が決まったとき息子たちが喜んでくれたことが僕にとっての一番の喜びでした」とうれしそうに話す市村に、本作での演技や、来年50周年を迎える俳優人生について、そして、2人の息子とのエピソードを聞いた。
世界中で“ミニオンブーム”を巻き起こした「ミニオンズ」シリーズの最新作となる本作は、1970年代を舞台にグルーとミニオンのはじまりの物語を描いた作品。市村が演じたワイルド・ナックルズは、グルーが憧れる最強悪党チーム ヴィシャス・シックスの元リーダーだ。
伝説の悪党ワイルド・ナックルズと、ミュージカル界のレジェンドである市村。長年にわたって活躍してきた重みも相まって、ビジュアルも似ているように感じるが、市村自身「風貌が僕に似ているなと思いました」と言い、先月開催された日本語吹替版完成会見でグルー役の笑福亭鶴瓶も「顔が似ている」と話していた。
内面に関しても、市村は「彼のユーモアのセンスを僕も多少は兼ね備えているんじゃないかな」と共通点を挙げる。そんなワイルド・ナックルズを演じる際には、堂々としたボスらしさを意識したという。
「ボスたる部分を見せるのにおどおどしていたらいけないので。僕は気が大きい役をいろいろ演じていますが、市村正親個人としては非常に気が小さいので、それがバレないようにするのはけっこう大変なんです」
気の小ささは俳優としてはプラスに。「気が小さいからこそ誰よりもいっぱい稽古をする。自信を持って早く人に見せたくなるくらいまで努力することができるのは、気が小さいからかもしれません。気が大きい人は『大丈夫だよ』なんて言ってあまり稽古せず本番で恥をかいてしまう。そういう意味では気が小さいのは逆に強さだと思います」
来年で俳優生活50周年。「僕自身は、50年やったのかな、もう73歳なのかな、なんて思いますが、ふと鏡を見ると73歳だな、50年役者をやってきたんだなという顔つきになってきたと思います」としみじみと語り、「でも中身は相変わらず純情な青年ですよ!」と笑顔で加えた。
ワイルド・ナックルズとの共通点として、市村は「短気」も挙げる。優しさがにじみ出ているように感じるが、「理不尽なことや納得できないことがあったら怒ります」と言う。