主演を務めた映画『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞したことも記憶に新しい俳優・西島秀俊。現在は、班長役を演じた『シン・ウルトラマン』がメガヒット中だが、7月5日よりスタートした永野芽郁主演のTBS系ドラマ『ユニコーンに乗って』(毎週火曜22:00~)では打って変わって、普通のおじさんサラリーマン役を演じている。

  • 『ユニコーンに乗って』小鳥智志役の西島秀俊

本作は、仕事に恋に奮闘しながら夢に向かって真っすぐ生きる、教育系スタートアップ企業「ドリームポニー」の若きCEO・成川佐奈(永野)らの成長を描く大人の青春ドラマ。西島が演じているのは、佐奈のもとに部下として転職してきた元銀行員の小鳥智志(ことり・さとし)だ。

西島は小鳥を「すごく真面目で保守的というか、ちょっと堅苦しいところがありそうなのに、バードウォッチングが趣味で、どこか風通しの良い性格の人」と捉えている。「生真面目さと自分の夢に向かってもう一度転職するような情熱の両面を持っている不思議なキャラクターで、その相反するような2つの性格を1つのキャラクターとして上手く演じることができたらいいなと思っています」

クランクインする前に、スタートアップ企業を見学し、実際に働いている人たちから話を聞いて、役を肉付けしていったという西島。「考え方や大事にしていることをはじめ、それ以外に『普段、仕事中に何を食べていますか?』といったこともお聞きしました。僕は甘いものが好きでよく食べますが、そういう内容からひも解いていくと、いろんなものが見えてきます」と、目のつけどころが面白い。

「例えば『このお菓子が好きです』と聞くと、なるほど、地方によく行くからお土産で買ってくるのかとか、時間がフレキシブルだからこそ、こういう食べ物なのかと、いろんなことが食べ物からわかってくるんです。ほかにも、昔はこうだったけど、立ち上げ当初の生活と5年経った今とでは変わっているとか、変化も見えてくるので、細部についてお聞きします。そこは僕が大事にしているというよりも、好きなものについて聞くことが好きなんです」

食べ物のほか、見せてもらった人たちのデスクも印象深かったという。「フリーアドレスなので、皆さん、いつも場所が変わるから“机回り”というものがないと言われましたが、そのなかでもほかの人とは違い、あまり動かないという方のデスクを見せてもらいました。そのなかのおひとりが、すごく面白いものを飾ってらっしゃって、話を聞いたら素敵なエピソードだったので、その場で監督たちと共有して、ストーリーに入れることにしました。ネタバレなので言えませんが、小鳥にぴったりな内容になっているかと思います」とのことで今後、そのくだりが登場予定だ。

■永野芽郁がいると「現場がパッと明るくなる」

主演の永野についてはほぼ初共演に近いが、その印象について西島は「彼女がいると現場がパッと明るくなります。監督ともいろんなことを話し合って、いいシーンにしていこうという意思が感じられます。若いし、すごくプレッシャーもあるでしょうけど、それを明るい力ではねのけていけるような才能の持ち主です」と称賛する。

佐奈の共同創設者である須崎功役の杉野遥亮については「彼は結構クールな役が多いのですが、本人はすごく天然なので、それが役になった時、ちょうどいい具合に混ざり合うんです。クールだけど冷たくなくて、どこか可愛げがあるから、本当に今回の役もピッタリです。もちろん、みなさんハマってますが、杉野くんは本当に素敵に演じていらっしゃいます」

本作では2人を含め「ドリームポニー」の個性派社員たちのアンサンブル演技も見どころとなる。現役大学生のプログラマー森本海斗役の坂東龍汰、創設メンバーの栗木次郎役の前原滉のほか、帰国子女のプログラマーの夏井恵実役は連続ドラマ初出演の青山テルマが扮している。

「メンバー全員が居るシーンはどのシーンも印象深いです。テルマさんがアドリブをどんどんかましていき、それに前原君が巻き込まれていきつつ、一生懸命上手くまとめています。テルマさんは魅力の塊みたいな人で、記者会見でも現場でもエネルギッシュで、きっとこれからすごいオファーが来るだろうなと思っています。坂東君はよく共演していますが、毎回役が違うけど、その役に入り込んでいくタイプです。今回はあの特殊なキャラで思いっきり投げていきますが、それも前原くんが全部受け止めて上手く回している感じです。とにかく全員が良い感じのバランスで成り立っているので、どのシーンも楽しいし、みんなが本当に素敵です」