本作を通して、女優としても新たな気づきもあった。「今回の作品は、友達や恋敵、仕事相手など一対一でお芝居をするシーンがとても多いのですが、監督とは『相手ごとに優芽子のキャラクターが変わってもいいのでは』ということを話していたんです」と現場でのやり取りを明かし、「それぞれ対峙する人のお芝居を受けて、リアルに優芽子の感情を表現することができたんです。以前から相手とのお芝居で生まれるものの大切さは理解していたつもりでしたが、改めて演技の本質みたいなものを認識できた気がします」と実りの多い時間を過ごしているという。

高校生でファッション誌『Seventeen』の専属モデルを務めてから15年の歳月が過ぎ、30代に突入した大政。優芽子の「仕事一途で周囲が見えなくなっている部分が、自分と似ている」と前述していたが、近年こうした仕事観や人生観に変化が生じてきたという。

大政は「20代は、仕事一本ですごく頑張ってきたなという思いがあったんです」と切り出すと「それは仕事がとても楽しかったというのが一番の理由なのですが、でも逆に言うと、プライベートを結構おろそかにしてきてしまったという意識もあって、もうちょっと私生活も楽しんだ方がいいんじゃないかと思うようになってきました」と語る。

特に強くそう感じたのがコロナ禍での自粛期間。「そのときにもっと自分を大切にしながら、仕事と向き合っていけたらいいなと」と気持ちに変化が生じたという。「あとは自分自身が結婚をしたというもともあり、プライベートな時間の意味も変わってきましたし、私生活が充実している先輩方を見ていて、とても豊かな人生だなと感じて、自分もそうありたいと思ったんです」。

こうした意識の変化は、芝居にも還元されているという。「プライベートをしっかりとすることで、視野も広がったと思うんです。こうした恋愛作品で主演をさせていただいて、感情の振れ幅みたいなものや、表向きだけじゃなく、心から発する気持ちみたいなものも、より広く表現できているような気がします」。