■家でも三味線を練習「弾き語りをするのがすごく難しい」
歌手としての歌唱と、役としての歌唱の違いについては「普段、自分が歌う時は限りなく自分に近い感じで歌っていますが、役として歌う時は、やはり役の延長線上に歌があるので、全然違うなと感じています」と言う。
「歌子はよく緊張して足先から肩までガチガチになりますが、その緊張と歌を上手く両立させるにはどうしたらいいのかと、自分なりに考えたり研究したりしました。歌子の場合、台詞を発するよりも、歌の方が本音だったりすることもあるので、普段から音楽をやっていることが、多少は生かされていたらいいなとも思っています」
なかでも三線を弾きながら歌うシーンには、かなり苦戦したそうだ。「三線は今まで一度も触れたことがなかったので、最初は触っているだけでも不安でした。たぶん誰でも音は出せると思うんですが、弾き語りをするのがすごく難しくて。沖縄の言葉や、演奏と自分の声とのバランスなども調整が必要だし、まだまだガチガチで演奏しています。沖縄の風や海のことを思い出しながら、よく家でも弾いています」
沖縄のロケはとても思い出深かったようで「海の近くで三線の練習をしていたら、地元の自転車に乗ったおじいさんが『よう頑張ってるなー』と声をかけてくれましたし、他にも三線を弾いている方がいらっしゃったりもしました。気候がすごく良いから、海の近くに立っているだけで、いろんなものが満たされますし、そんな環境で育った人たちは、自然と歌や踊りを愛することになるんだろうなとも感じています」としみじみ語る。
「沖縄で兄妹4人で海の近くを歩いたり、深い話をする機会がたくさんあったからこそ、本当の兄弟のようになれたのかなとも思いました。沖縄ロケではいろんなものをたくさん吸収できたので、今後もドラマを通して、沖縄の良さを全国に届けていきたいと思いますし、私は特に三線と歌を頑張りたいと思っています」と気合い十分に締めくくった。
2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリを受賞し、2012年に女優デビュー。2018年公開の映画『羊と鋼の森』で第42回日本アカデミー賞新人賞を受賞。主な出演作に、ドラマ『義母と娘のブルース』(18)、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(19)、映画『子供はわかってあげない』(21)など。アニメ映画『未来のミライ』(18)や『劇場版ポケットモンスター ココ』(20)には声優として参加。adieuとして音楽活動もするなど、多方面で活躍している。
(C)NHK