■直感を大事に「とりあえずやってみる」
――なるほど(笑)。中田さんは漫画雑誌『Sho-comi』(小学館)が主催するオーディションでグランプリを獲得したことが、役者デビューのきっかけになりました。オーディションを受けたのは、商品の図書カード3万円分がお目当てだったとか。もし、その雑誌を読んでいなかったら、その後どんな人生を歩んでいたか想像したりしますか?
普通に高校、大学と進学して、就職して、「私、なんか熱中できることないのかな?」と思いながら生きていると思います(笑)。
――まだ兵庫にいたんですかね。
どうなんですかね。なかなか東京に出てくる機会もないでしょうし。
――結局、役者になる人はなるべくしてなるのかなと思ったりするので、回り回って役者になり、上京されていたのではないでしょうか?
どうでしょう……なかなか役者になるきっかけってないじゃないですか。たまたま見つけて自分からオーディションに応募しましたが、そんな風に「なにかをやりたい」と思って行動するタイプではなかったので、そのオーディションを見つけなかったら、この仕事はしていないのかなと思います。
――「人生は選択と決断の上に成り立っている」という考え方を聞いたことがあるのですが、中田さんはそんな風に考えたりはされますか?
私は「もうしちゃったから、しゃーないわ」と思っちゃうタイプなんです(笑)。
――気持ちがいいです(笑)。でも、高校、大学と進学されて、色々な選択肢があるなかで、役者を続けようという決断をされたのかなと。
高校生の頃からこの仕事をしていて、同じくらいの思いでやりたいと思うことが他に見つからなくて、続けているという感じです。なので、もしお芝居をしていなかったら、今どんな仕事をしてるのか想像できないんですよね(笑)。
――先ほどの「熱中できることないのかな?」の世界線に繋がるのですね(笑)。大学に進まれても、やっぱり役者が一番情熱を注げるものだった?
大学では社会勉強をしたいと思っていました。高校は芸能コースがある学校で、周りも同じお仕事をしている人たちだったので。
――役者としても、その経験は財産になりそうですね。大学生活はいかがでしたか?
すごく楽しかったです。途中で自粛期間に入って、学校で友だちと会う機会は減ってしまったのですが、それまでは大学の友だちと遊びに行ったり、充実した学生生活を送れたと思います。
――芸能のお仕事をしているということで、友だちから特別扱いを受けたりもなく?
そうですね。友だちは私の仕事に関して、いい意味であまり関心がなかったから、それが心地よかったです。
――素敵なご友人に巡り会えたんですね。お話を聞いていると、役者のお仕事を続けるなかで、中田さんのなかで大切にしてきた軸みたいなものを感じました。これから進路を決めていく下の世代の方々に向けて、「やりたい」と思えることを見つけるためのヒントを最後に教えていただけますか?
私はめっちゃ考えても、考えすぎてよく分からなくなっちゃうタイプなので、直感で行こうと(笑)。なんとなく「自分がやりたいのはこれなのかな?」となったときに、「本当にやりたいのかな?」と考え始めると、負のループに陥っちゃう。そういうときは「これをやりたい」と一回思ったんだったら、とりあえずやってみようと。そういう直感は大事にしています。その先で、うまくできないこととかが増えてきたときに、自分が本当にやりたいと思えることが何なのかが分かってくるんじゃないかなと思います。
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スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)
中田青渚(なかた・せいな)
2000年1月6日生まれ。兵庫県出身。「第5回Sho-comiプリンセスオーディション2014」でグランプリを獲得し、俳優活動をスタート。主な出演作品は『3月のライオン』(17)、『ミスミソウ』(17)、『見えない目撃者』(19)、『街の上で』(21)、『あの頃。』(21)、『うみべの女の子』(21)、TBS系ドラマ『中学聖日記』、テレビ朝日系『dele』など。『街の上で』、『あの頃。』、『うみべの女の子』の演技が評価され、「第43回ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞を受賞。7月8日スタートのBS時代劇『善人長屋』(NHKのBSプレミアム/BS4K)で連続ドラマ初主演を飾る。