■新たな挑戦に刺激
――『5つの歌詩(うた)』では、ドラマ化が前提にあった上で、ドリカムが新曲を書き下ろすという試みがなされました。中村さんと吉田さんにとっても、岡田さんにとっても挑戦であり、大変な企画だったのではないかと思います。
中村:岡田先生も吉田も大変だったと思います。でも、我々は刺激になりましたし、岡田先生も刺激になったんじゃないのかな? さっきの篠山先生の話じゃないけど、やっぱりキャリアを積むと、こういう挑戦的なシチュエーションはなかなかなくなってくるから、新しいチャレンジに参加させてもらえるのは本当にありがたいし、勝ちたい。スターチャンネルの社長も「一石を投じたい」とおっしゃっていたけれど、波紋を投じて、他社がスターチャンネルに続くような先駆けになりたいです。
岡田:こうして新しいチャレンジをする時に、僕のことを思い浮かべていただけたことがまず嬉しかったですし、今まで接点のなかったドリカムさんとの組み合わせで呼んでいただいたことも、ちょっと上からで申し訳ないんですけど、「分かってんじゃん」と(笑)。僕の書く作品のファンでいてくれる人は、ドリカムさんのファンだという人の比率が高い気がしていたので、同じように親和性を感じていただけたことも嬉しいです。
――今回の企画のために書き下ろされた新曲について、中村さんは「吉田が珍しく今をつかんでいる楽曲」と表現されていました。その楽曲を元に脚本を書かれてみて、いかがでしたか?
岡田:僕は、強い意志といいますか、楽曲の濃さに感動しましたね。ある種の宣戦布告なんだろうなという感じがしましたし、ノウハウで新曲の引き出しを開けていない感じが素敵だなと思いました。
中村:映像を観ていただけたら分かると思いますが、「あの映像にあの曲なのか!」という風に感じてもらえるはず。岡田先生が秘めている毒というか、いい意味での攻撃性があって、この楽曲をドラマのオチに持ってこれたのはとても良かったと思います。岡田先生と吉田が作り上げた言葉の集積で、予定調和じゃないんですよね。親和性がありながら、ぶつかり合っていて、お互いの言葉をシェイクしてる。
ドラマの最後にドリカムの曲をフルで流してくれて、「尺足りるの?」ってドキドキしちゃうから、もっと短くしとけば良かったと思いながら観てたんですが(笑)、過剰な情報がなくて、本当に綺麗に流れる。そしたら改めて、ドリカムの楽曲の詩とドラマのストーリーが合体して、岡田先生が作った世界がグワっとくるんですよ。楽曲の詩が単独で与えた想像の世界じゃないのがすごくいい。視聴者の皆さんには、ドリカムと岡田先生が手がけたものということは一旦忘れてもらって、余計なコーティングなしで、スターチャンネルの新たなチャレンジとして観てほしいなと思います。
1959年2月11日生まれ。東京都出身。1990年、『ドラマチック22 香港から来た女』(TBS系)で脚本家としてデビュー。以降、『南くんの恋人』(テレビ朝日系)、『若者のすべて』(フジテレビ系)、 NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』、『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)、映画『いま、会いにゆきます』(04)、『余命10年』(22)など数々の話題作を手がける。
1958年10月1日生まれ。東京都出身。1989年、DREAMS COME TRUEとしてシングル「あなたに会いたくて」とアルバム『DREAMS COME TRUE』の同時リリースでデビュー。以降、「決戦は金曜日」「未来予想図II」「LOVE LOVE LOVE」「やさしいキスをして」「大阪LOVER」「何度でも」など数々の名曲をリリース。来年2023年には、4年に一度のグレイテストヒッツライヴ「史上最強の移動遊園地DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2023」の開催を予定している。