7月2日にスタートするBS松竹東急のドラマ『悪女のすべて』(毎週土曜23:00~)に主演する足立梨花。演じるのは、平和主義の専業主婦・玉野久美で、小沢真珠演じる悪女にいじめられ、次第に自分も悪女になっていくという難役だ。
こうしたドラマや映画に加え、バラエティ番組でも引っ張りだこというまさに“二刀流”の活躍だが、どのようにこのポジションを確立したのか。そして、「どっちかが欠けちゃうと、どっちもできなくなるのかなと思います」と語るその理由とは――。
■本当に体力のいる現場だと思った
――今回の役柄への印象から教えてください。
最初は「私が悪女というより、受けるタイプの子なんだろうな」と思ってたんですけど、台本を読み進めていったら久美もなかなかだなという(笑)。「悪女」と言っても一言で表しきれないタイプの人だったので、久美という人物を作り上げていくのが、ちょっと難しかったです。
――ドラマの発表時に「私の体力はもつのか!(笑)」とコメントされていましたが、それはその役作りの難しさからですか?
そうですね。それと、劇団に入る主婦の役で、劇中劇でまた別の役を演じなきゃいけないというので、ちょっとパニックになってしまって(笑)。「私として演じるんだったらこうなるけど、久美として演じるんだったらどうなるんだろう…」と二重で考えなきゃいけないこともあって、すごく頭が疲れそうだなというのもありました。
さらに、予告でも「腐った水より嘘くさい!!」と言われてるように、百合園先生(小沢)に結構メッタメタにされるので、ああいうのを毎日聞いていると、セリフと分かっているとは言え、やっぱり精神的にも体力的にも下がっていくんじゃないかと。だから、これは本当に体力のいる現場だと台本を見て思いましたね。
――これまでも『噂の女』(18年、BSジャパン)などで悪女を演じられてきましたが、悪女の魅力というのは、どのように感じていますか?
絶対に「腹立つ!」「ムカつく!」と思うんだけど、その人の本心を覗いてみたくなるというか、なぜそう思うに至ったのかをちょっと考えてみたくなると思うんです。普通に平凡に生きている人より、悪女についてのほうが考える時間が長くなってきますよね。それは演じる上でもそうだし、きっと見ている人も感じることなのかなと思っていて、だから“悪女”と呼ばれる人物が出てくる作品がたくさんあるんだろうし、皆さんがちょっと気になって見てしまうのではないかと思います。
■足立梨花という存在で自分だけが通れる道を
――今回のようなドラマに加え、足立さんはバラエティでも活躍されていますが、なかなか両方を本格的にやっている方は稀有な存在だと思います。片足ずつ突っ込んでるのではなく、両方に両足を入れているような。このポジションは、意識されて確立されていったのでしょうか?
マネージャーさんが「芸能界の大谷翔平を目指そう! 二刀流だ!」と言ってて、私は笑って聞いてるくらいなんですけど(笑)。でも、昔からバラエティに出るのもお芝居に出るのも、大変だったし、悩むこともたくさんあったんですけど、やっぱりどちらも楽しいというのがあって。「どっちかに絞らないの?」と言われることもあるんですけど、私は「楽しいからどっちもやっていいじゃん!」って思うタイプなんです。だから、意識して出来上がったわけではなく、楽しんでやっていたら、ありがたいことに両方とも、色んな立場でお仕事をさせていただけるようになったので、皆さんに作ってもらったこの2つの世界なのかなと思っています。
――憧れの先輩を挙げるとすると、どなたになりますか?
私はやっぱり、アッコさん(和田アキ子)と(石原)さとみさんという2人の存在が出てきますね。この芸能界を第一線でずっと長くやられているアッコさんもすごい存在だし、お芝居もそうですけど女性の憧れる存在であるさとみさんもすごいと思います。
――やはり全然違う立場のお名前が出てくるというのが、足立さんの独自のポジションを表しているような気がします。
そうですね。どこかを目指すというよりは、足立梨花という存在で自分だけが通れる道みたいなものを探しているところがあるのかもしれないです。