昨年から5代目総合司会を務める安村直樹アナウンサーも、学生時代はラグビーに熱中し、近年30kgのダイエットに成功した、まさに努力の人。そして、今年の開催と総合司会続投を渡邊統轄Pが知らせた際、「この大会は絶対に続けたいな、司会としてやり続けたいなと思っていたので、すごくうれしいです…」と、涙が止まらなかった熱い男だ。
この涙の理由について、渡邊統轄Pは「安村アナは、“高校生活は3年しかないのに、コロナ禍でいろんな青春の場を諦めたり、我慢しなければならないことが続く中で、『高校生クイズ』という高校生が主役で頑張れる場が今年も開催されることになって良かった”、と泣きじゃくり語っていたんです」と打ち明ける。変革を進める中でも、「高校生の皆さんに親しみやすく寄り添ってくれると思うので、適任だと思います」と、2年連続で大役を託すことになった。
そんな安村アナの思いは、当然スタッフも持ち続けている。コロナが始まった2020年、高校生の参加する様々な大会が中止を余儀なくされる中、『高校生クイズ』は例年の夏開催を見送り、オンラインを活用し、予選を11月に、放送を12月に繰り下げてまで何とか開催にこぎつけた。
ここまでして開催にこだわるのは、「諦めてやめてしまうのは簡単ですが、優勝旗にはこれまでの41回の優勝校の名前が書かれているんです。時代とともに、スタッフも開催の形態も変わりますが、高校生が主役。芯の部分は守り続けなければいけない」という思いから。
「個人的な考えではあるのですが、『高校生クイズ』は日本テレビが取り組むSDGsの1つだと思うんです。未来を担う若者たちが情熱を注ぐ大会は、時代によって形を変えながらも絶対にあったほうがいいと思います」と力を込めた。
■競合番組への意識は…
翻って、「若者のテレビ離れ」が叫ばれるテレビというメディアにおいて、高校生とダイレクトに接点を作る『高校生クイズ』というコンテンツは、重要な役割を担うと言える。
「若い視聴者の方にとって、自分と同世代が頑張っている姿というのは、絶対に見て感じることが多いと思いますし、高校生より下の子どもたちも『お兄さんお姉さんたちが頑張ってる』と憧れるだろうし、私のような大人の世代でも未来を担う若い人が頑張っているのを見るとうれしくなりますから、こういうコンテンツは今の時代だからこそ必要と思うんです。『箱根駅伝』にしても、自分はランナーじゃないのに、応援していると感動するわけじゃないですか。日テレ系で先日放送した『THE DANCE DAY』も盛り上がりましたが、若い人たちが何かを頑張っているものは、そこに出る側も見る側も、すごく良い刺激をもらえるので、“テレビ離れ”ということに対しても大事なコンテンツではないかと思っています」
演出の関口氏について、「入社1年目で『高校生クイズ』のADを担当し、地方大会で運営に携わったり、出場する高校生のプロフィールをまとめたり、クイズの裏取りをしたり、出題用の画像を集めたりという中で、クイズの一問に笑い、一問に泣くという光景を見てきたのが、彼のテレビ制作の原風景だそうです。その後は『超問クイズ! 真実か?ウソか?』という番組に参加して、『いざわ・ふくらの解けば解くほど賢くなるクイズ』という番組を立ち上げ、今は『小5クイズ』を担当。ずっとクイズに携わっている人間なので、本当に強い情熱を持って取り組んでいます」と、信頼を寄せる渡邊統轄P。
2020年からは『東大王クイズ甲子園』(TBS)という、競合とも言える番組が存在するようになったが、「クイズに情熱のある人と、それを応援したいと思う人が楽しめる良いコンテンツが増えるということであるなら、いいのではと思います」という姿勢。「『(高校生クイズと東大王クイズ甲子園で)2冠を達成したい』と燃えている高校生がいらっしゃるいうのも聞いていますし、そういう中で我々『高校生クイズ』スタッフは、高校生たちに恥ずかしくないような大会にしていきたいと思います」と意気込んだ。
今年のエントリー締切はあと10日と迫っており、7月10日20時まで。「全国どこでもスマホ1次予選」は、7月17日に開催される。
●渡邊政次
日本テレビ放送網コンテンツ制作局統轄プロデューサー。現在の担当番組は、『世界まる見え!テレビ特捜部』『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』『有吉ゼミ』『ろくにんよれば町内会』『Z STUDIOひまつぶ荘』『ワールドドキドキビデオ』『第42回全国高等学校クイズ選手権(高校生クイズ2022)』ほか。