1983年にスタートし、40年の歴史を重ねてきた日本テレビ系『全国高等学校クイズ選手権(高校生クイズ)』が、新たな局面を迎えている。これまでの都道府県代表制というボーダーを外し、純粋に成績上位校が全国大会で戦う形に刷新。1次予選の形態も大きくリニューアルする計画だ。
今年新たに担当することになったクイズへの情熱あふれる制作チームが設定したテーマは「クイズにかける夏~努力が報われる日~」だが、この狙いは何か。そして長年にわたって受け継がれる精神とは。日本テレビの渡邊政次統轄プロデューサーに話を聞いた――。
■都道府県代表制をやめてボーダレスに
ここ数年は「地頭力」「ソウゾウ脳」をテーマに掲げ、発想力で競い合うことで、いわゆる“ガチ勢”でなくてもチャンスを狙える大会を展開してきた『高校生クイズ』。これにより、クイズ好きの裾野を広げるという一定の役割を果たしたことで、今年は新たに、日テレ社内で企画コンペが行われた。
そこで採用されたのが、今年の演出を担当する入社9年目の関口拓氏が打ち出した案だ。同氏が演出を担当する『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(毎週金曜19:00~ ※一部地域除く)は、 “家族にいい思いをさせてあげたい”、“コロナで我慢が続く中で贅沢をさせてあげたい”など、挑戦者たちが熱い思いを持って賞金獲得を目指す姿が描かれている。今年の『高校生クイズ』でも、視聴者が高校生たちを応援したくなる大会を打ち出すため、スポーツのような熱いクイズバトルを目指して「クイズにかける夏~努力が報われる日~」というテーマを設定した。
これを踏まえて新たに実施したのが、スマホ参加による全国一斉1次予選で出題される10ジャンルの事前発表。出場者がしっかり対策をした上で臨めるようにし、「強豪クイズ研究部の人もそうでない人も均等に努力のしがいがあって、みんなが努力や情熱を注いだ結果、何かが起こるかもしれないという期待を込めました」(渡邊統轄P、以下同)と狙いを明かす。
そしてもう1つの大きな改革が、全国大会の都道府県代表制をやめ、地域に関係なく予選上位のチームが戦う形にしたこと。「時代がどんどん変わって、性別や世代で分けていたものがボーダレスになっている中、『努力が報われる日』というテーマにおいて、日本中でクイズに情熱を傾ける人たちが平等に勝ち上がれることも良いのではないか」と、その意図を語る。
従来あった“甲子園感”で地元校を応援するという要素が少なくなり、「賛否両論あるのは承知しています」というが、「まずは1回この形でやってみようという結論になりました。だから、今後ずっとそうなるわけではないです」と補足した。
■努力と情熱を兼ね備えたオードリー
「応援パーソナリティー」を務める伊沢拓司率いるQuizKnockのメンバーは、「クイズのプロとして、私たちだと感想がシンプルにすごいとなるところを、挑戦する高校生がどうすごいかを具体的に解説してくれると思います」という役割。また、「『高校生クイズ』出身の方が多く、負けてしまった学生たちにも声をかけていただくなどして、高校生のクイズに懸ける情熱を伝えてくれると思います」と期待を寄せる。
「応援リーダー」には、オードリーの2人が就任した。その起用の背景にも「努力」「情熱」というキーワードが見える。
「言うまでもなく高校生に大人気ですし、2010年に西武ドームの関東大会に応援パーソナリティーとして出演していただいた経験があるんです。それに、今回、若林(正恭)さんは『若い人が頑張っているのを見たら泣いちゃうかもしれません』と言っているくらい熱い方。春日(俊彰)さんは去年『小5クイズ』で全問正解して300万円を獲得したり、番組の企画が終わっても東大受験に個人的に挑んだりする努力の方なので、ぜひとお願いさせていただきました」