北海道大学(北大)は6月24日、同大学と同大学病院に設置されているおよそ500m離れた2台の「脳磁計」を光ファイバーで連結し、仮想的に対面・対話している2人の脳活動を同時に記録できるシステムを構築したことを発表した。

同成果は、北大大学院 保健科学研究院の横澤宏一教授、同・大学病院の齊藤卓弥教授らの研究チームによるもの。詳細は、米オンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載された。

人間は社会性の生き物であり、それを成り立たせるのになくてはならないのが、他者とのコミュニケーションとされているが、そうしたコミュニケーションにおける脳の機能の多くは、まだ謎に包まれたままである。そこで近年、脳波計や近赤外分光法、核磁気共鳴法などを用いた脳機能計測機器を2台同時に使う研究手法「ハイパースキャニング」が活発化してきているという。

しかし、脳磁計は完全無侵襲で脳内の活動部位の時間変化を追跡できるため、コミュニケーションに伴う脳活動計測に適しているが、それを2台保有している研究機関は世界的にもあまりなく、ハイパースキャニングでの研究は限定的なものだという。