ちなみに前田は2003年からNHK教育テレビ『天才てれびくんMAX』でてれび戦士を3年間務め、子役時代から順風満帆にキャリアを重ねてきたが、初めて子役としての洗礼を受けたのは、6歳のときに出演したCMでの現場だったという。前田は初めてオーディションを受けて合格し、同じホリプロの大御所である和田アキ子と共演した。

「自分が所属する事務所の看板を背負っている方と初めてお仕事をするということで、僕が緊張していたら、アッコさんが『前田、硬くなるな』と、6歳の僕に対してありえないぐらい目線を合わせてくださったんです。そこで僕の肩をぽんと叩いて入魂してくださいました。そのお仕事は本当に楽しくて、6歳ながらにして一気に天狗になるんです。その後、変なマインドになり、次のオーディションでとてつもなく鼻につくような感じで出向いたら、一次審査で落ちまして。そこで7歳ながらに挫折を感じ、その悔しさをバネに芸能界を続けていった感じです」

その後、俳優を志す転機になったのは、16歳の時に映画『ひぐらしのなく頃に』(08)で、主演に抜擢された頃だったと言う。「その時から、ずっとお芝居に魅了され続け、お芝居でご飯を食べていけたらいいなと思いまして、いつしかそれが仕事になっていたという感じです」

そして、今回の朝ドラ出演で夢が叶った前田は「僕にとって家族は大きな存在ですし、そんななか『ちむどんどん』を沖縄で撮るということにいろんな巡り合わせを感じています」としみじみ語る。

「『天才てれびくん』で初めて長期ロケに行ったのも沖縄で、僕の誕生日は“シーサーの日”と呼ばれる4月3日生まれですし、初めて買ったCDも(沖縄を拠点に活動する)ORANGERANGEです。だから朝ドラに出演できたことは本当に奇跡としか思ってないです。智役を経て、人としても、役者としてのアプローチ方法にしても、すべてが更新されている感覚がすでにあります。自分自身の未来が、こんなに楽しみになる役と出会えたことをすごくうれしく思います」

■前田公輝(まえだ・ごうき)
1991年4月3日生まれ、神奈川県出身。6歳で芸能界デビューし、2003年から2006年までNHK教育テレビ『天才てれびくんMAX』に出演。2008年、映画『ひぐらしのなく頃に』で初主演を務め、続編『ひぐらしのなく頃に 誓』(09)にも同役で主演。2010年に舞台『白虎隊・ザ・アイドル』で初舞台にして初の舞台主演を果たす。2016年より『HiGH&LOW』シリーズに出演し、最新作『HiGH&LOW THE WORST X』が9月9日より公開。ドラマ『赤ひげ』シリーズにも出演している。

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