5月にRadeon RX 6650 XT/6750 XTの試用レビューをお届けしたが、同時に発表されたRadeon RX 6950 XTの評価機がやっと手元に回ってきた。既に先月18日には秋葉原にも製品が出回っており、ちょっと遅きに失した感は否めないのだが、改めて評価結果をお届けしたいと思う。

評価機材

Radeon RX 6950 XTそのものは以前ご紹介した通り、Radeon RX 6800/6800 XT/6900 XTと同じくNavi 21コアを採用、コア構成はRadeon RX 6900 XTと同じ80CUで、動作周波数がGame 2100MHz/Boost 2310MHzに引き上げられ(Radeon RX 6900 XTはそれぞれ1825MHz/2250MHz)、メモリが18Gbps GDDR6に交換された(Radeon RX 6900 XTは16Gbps GDDR6)製品である。これによりBoard Powerは300Wから335Wにやや引きあがっている。

  • 「Radeon RX 6950 XT」を試す - Radeon最速、GeForce RTX 3090 Tiとは結構違う?

    Photo01: 威圧的な3連ファンが目立つ。寸法は320mm×120mm×65mm(実測値)。

  • Photo02: 背面はバックプレートにほぼ覆われている。重量はこれも実測値で1604.5g。左下に動作モード切り替えスイッチがあるのが判る。今回はOCモードで利用。

  • Photo03: ブラケット側はこの通り。きっちり3slot厚が必要だし、上方向への突き出しも激しい。出力はHDMI×1、DisplayPort×3。

  • Photo04: 反対側は、エンプラのフィンらしきものが搭載されているが、どこまで効果があるのかは不明。

  • Photo05: 上面から。補助電源は8pin×3。

  • Photo06: 底面から。説明によればヒートシンクは320mmの長さだそうで、実際ほぼカード全体がヒートシンクで覆われている(しかも厚みが結構ある)事が判る。

  • Photo07: このアングルから見ると猛烈に質感というか厚みというかのインパクトが大きい。

  • Photo08: 一応この白いプラスチックは導風板になっているのが判る。

さて今回試用したのはPowerColorのRed Devil AMD Radeon RX 6950 XT 16GB GDDR6である。動作周波数はわずかに挙げられているのが判る(Photo09,10)。ちなみに5月18日における秋葉原での価格は207,000円前後とされていたが、6月20日におけるAmazonでの販売価格は182,160円と結構値段がこなれてきており、多少入手しやすくなっているのはありがたい話だ。

  • Photo09: メモリは18Gbpsのまま。コアの動作周波数がGame/Boostで2100MHz/2310MHz→2116MHz/2324MHzになっている。

  • Photo10: Power Limitは最大20%まで上げることが可能で、最大だとBoard Powerは402Wになる計算。

さて今回はAMDでもハイエンド機種に当たる訳で、比較対象も当然GeForce RTX 3090グレードということになる。ちょうど4月にこんな記事をやらせていただいているので、今回はこのテストに合わせる形で、GeForce RTX 3090/3090 Tiと性能比較を行うことにした。

テスト環境は表1の通り。GeForce RTX 3090/3090 Tiの方は、以前のテストのデータそのままである。一方Radeon RX 6950 XTの方は、厳密に言えばOSのBuildが若干上がっているので完全に同一環境とは言えないのだが、大きな差はないと考えて今回はこのまま実施している。なので、個々のベンチマーク設定なども完全に合わせてある。そんな訳で個々の設定方法は前回の記事をご覧いただきたい。

■表1
CPU Core i9-12900K
Motherboard ASUS Prime Z690-A
BIOS BIOS 0703
Memory Micron CMK32GX5M2A-4800C40×2
DDR5-4800 CL40
Video ・ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity OC
・ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holo
・PowerColor Red Devil AMD Radeon RX 6950 XT 16GB GDDR6
Driver GeForce Driver 512.16 DCH WHQL AMD Software Adrenalin 22.5.2 Optional WHQL
Storage ・Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
・WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 11 Pro 日本語版 21H2 Build 22000.556 Windows 11 Pro 日本語版 21H2 Build 22000.708

グラフ中の表記は

3090 :ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity OC
3090Ti:ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holo
6950 XT:PowerColor Red Devil AMD Radeon RX 6950 XT 16GB GDDR6

となっている。また本文中の解像度表記は、いつものように

2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel

とさせていただいた。

またこれはお詫びなのだが、実は今回テスト結果をまとめている最中、前回のテストのうちWatch Dogs:Legionに関してのみだが、うっかりDLSSがEnableになっていることが判明した。これはGeForce RTX 3090/3090 Ti共になので、その意味ではこの2つの比較という意味では問題ないのだが、Radeon RX 6950 XTではDLSSが使えないし、Watch Dogs:LegionがFSRに対応している訳でもないので、DLSSを無効にしないと比較としておかしい事になる。それもあって、今回比較からWatch Dogs:Legionは外させていただいた。

◆3DMark v2.22.7336(グラフ1~3)

3DMark v2.22.7336
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ1

  • グラフ2

  • グラフ3

まずはこちらから。Overall(グラフ1)を見ると、概ねGeForce RTX 3090 Tiにはちょっと及ばないが、GeForce RTX 3090は超えている程度というスコアに落ち着いており、まぁ構成を考えれば妥当かな? とは思うのだが、やっぱりというかなんというか、Port RoyalではGeForce RTX 3090にも及ばない程度でしかない。この傾向は、以前Radeon RX 6900 XTで試した時と同じであり、まぁ動作周波数とメモリクロックが上がった程度では解決しない話であるが、要するにRay Tracing性能に関してNavi 2xベースではまだAmpereの敵ではないということであり、これに関してはNavi 3xの登場で改善する事を期待したいところだ。

今回はCPUそのものは共通という事もあり、Overallの結果とGraphics Test(グラフ2)の結果もほぼ同一傾向。要するに「Ray Tracingを使わなければ」Radeon RX 6950 XTはGeForce RTX 3090/3090 Tiと良い戦いが出来るという傾向が再確認されたことになる。

Combined TestではなぜかFireStrikeだけRadeon RX 6950 XTのスコアが低めだが、Extreme/Ultraでは普通に妥当なスコアとなっており、まぁGeForce RTX 3090 Tiには及ばないものの、概ね良い勝負であると言える。