――初の合作曲「Sayonara あいしてる」について

吉田「3人で一緒に作った曲を番組で演奏してみたいね、と以前、話をしていました。2人がその場で“ぜひ”と言ってくれたので、俺が詩を書くよ、と。それで、詩を光一と剛に送ったんです」

「次の日にきたんですよ」

光一「思いつきが過ぎるんです、拓郎さん(笑)」

「次の日にきちゃったから、そのスピード感で返したいと思って。僕はたまたま家で作業だったので、やっていた作業をいったん止めました。拓郎さんのスピードに対して、反応した自分のものを作りたいと思って、すぐに作ったんです。光一もサビの部分を思い浮かべていたから、混ぜてみよう、と」

光一「お互いに拓郎さんの詩を見て、剛もスピード感を持ってやっていたし、僕は舞台中だったんですが、サビに関してはメロディーが浮かんでいて。でも、それぞれ思いついたことを形にしていたので、作ってる曲のキーが違ってたので時間がかかってしまって…」

「世界観から全然違う」

光一「すり合わせる作業をしていましたが、最終的には“拓郎さんに丸投げするか!何とかしてくれるだろう!”という感じでした(笑)」

吉田「いや~早かった!俺が送ったら、すぐ2人からも“できました”と返事がきて。随分安易に作るなと思ったよ(笑)」

光一「安易じゃないですよ!」

吉田「“人の詩をもっと練って、よく考えたらどうなんだ!”というくらい早かった(笑)」

「反射的に作りましたから!」

吉田「前もって作ってあったんじゃないの?(笑)。舞台中なのに、光一も早かったね」

光一「帝国劇場の楽屋に拓郎さんの詩をずっと置いていました」

「だから幻のサビがあることにもなるんで、これはいつか歌ってもいいかなとも思っています。拓郎さんは思い付く人だから、僕も同じ鮮度で返したいと思って。そこで躊躇(ちゅうちょ)したりいろいろやったりするよりかは、拓郎さんの詩にお互いに反応したものを見せ合って、それでひとつの曲を作る。それが正解の作り方だと思う。今回は、サビを光一のサビにしようと決めて混ぜました。だから、ゼロから一緒に考えて作っていたら生まれなかったかもしれないメロディー。そんな制作過程が、この曲ならではの温度感につながったかなと思っています。でも、本当に大変でした(笑)」

吉田「“詩を読みました。感動しました。メロディーが浮かんできました”と光一からメールがきて。“これから剛と二人で構築していきます”とメールがきたんですよ。そしたら何日か後に、“僕と剛は構築するために何かしたことがないんです”なんて言ってきて(笑)」

光一「お互いに連携を取ってやろうと考えていたんですけど、思えば連携なんて取ったことないなって(笑)」

吉田「剛からAというメロディーがきて、光一からはBというメロディーが届いて、俺にこれをくっつけてくれと。いかにもKinKi Kids。委ねられたというか、勝手すぎる!(笑)」

「光一は舞台をやっていたから、なかなか時間が取れなくて…」

吉田「お前たちは連携を取るのが嫌なのか(笑)」

光一「なにしろ会う時間がなかったんです。剛はさっき言ったようにすごく早くて。勢いを殺したくないという思いはもちろんわかるし、でも僕は僕の中で思い浮かんでいるものもあって…」

吉田「俺は2人がどこかの喫茶店で話し合いながら頭を突き合わせて“剛、そこはこうじゃないの?”“光一、それはおかしいよ”なんて言いながら作っているのかと思ってたよ!」

光一「そんな2人じゃないことはわかっているじゃないですか(笑)」

「(笑)大変でしたが、拓郎さんの詩がとてもすてきなので、とても良い曲ができました。久しぶりにこのメンバーで過ごして、めちゃくちゃ楽しいです。『LOVE LOVE~』をもう一度やりたいなと思うくらい。この空気感を皆さんに伝えるべく、本番はナチュラルに過ごそうかなと思っています」

光一「冒頭に言ったように“番組をやろう!”という拓郎さんの一言から始まって、“お前ら、曲作れ”と言われて。“どうしよう!”と思いながらもみんなでひとつに向かっていくエネルギーが生まれるんです。そのきっかけをくれる方で、それは昔からずっと変わらない」

「言い方を変えると“ちょっと、YOUやっちゃいなよ”です(笑)」

光一「本当にそう!今の時代、守りに入らず、そういうエネルギーを持っている人はなかなか出会えないと思います。おのずと道ができていく、そこに全員が向かっていってしまう、それが拓郎さんの持つエネルギー。昔も今もそうやって変わらないのがすてきだし、そこにいられることが幸せだと感じながら準備しています」