――おふたりのスーツの素敵な着こなしもこのドラマの魅力だと思いますが、こだわりなどはあるのですか?
武田:スタイリストさんのセンスが抜群なので、もうそのまま身を委ねています。スーツもそうですし髪型もそうですし、衣装合わせのときからこの原作の世界観と、実写でできる最大限のものを準備してくださったので、そこの作り込みに関しては信頼していますね。
木村:タイトなパンツが結構あるんですけど、劇中でもスイーツをたくさん食べなきゃいけないので、体型の維持がちょっと大変でした(笑)。週3でジムに行ってる役で、上裸になって体を見せなきゃいけないシーンもあったので、合間にめちゃくちゃ鍛えたりしてましたね。
――サラリーマンの世界は芸能界にいらっしゃるとなかなか縁遠いと思いますが、その部分は演じてみていかがでしたか?
木村:僕、パソコンのいじり方が分からなかったんです。
武田:そうだったね。外川くんがパソコンを打ちながら周りの様子を見ているような描写だったんですけど、「ブラインドタッチができないからどうしよう…」という話をしていたのを耳にしました(笑)
木村:大学生のときはレポートを書いたりするときに結構打ってたはずなんですけど、思うように手が動いてくれなくて。だから、書類をずっと見てるというシーンに変えてもらいました(笑)
武田:僕は、サラリーマンの方が毎日スーツを着る生活というのは大変だなと思いました。やっぱりきれいにしなきゃいけないですし、そういう意味では素敵な衣装を用意していただいて、同性から見てもカッコいいと思ってくれるような着こなしを2人がしているので、そこも見ていただきたいなと思います。
木村:スーツへの憧れはありますよね。なかなか僕たちは着る機会がないので。
■アラサー/アラフォーを演じる中で感じること
――今回はそれぞれアラサー、アラフォーと言われる年代の役ですが、そうした役を演じることによって俳優としてのキャリアを積み重ねてきた実感はありますか?
武田:僕はありますね。20代前半のときって、今36歳なんですけど、結構年上だなあと思ってたんですよ。いざ実際に自分が35を超えてくるとそんなこともないなと思ってたら、現場で20歳の方とかがたくさん活躍されていて、キャピキャピ感とかワイワイした感じについていけなくなっていたんです(笑)。静かに見守るという感じですね。今回演じる野末さんも「キャピキャピしてるのっていいよね」って憧れているシーンがあるんですけど、何の違和感もなく自分もそう思ってセリフを発していたので、僕もそういうところに来たのかなと思いました。
木村:僕は今28歳ですが、アラサーか…。でも、考え方は全く変わってないですし、このまま50代まで行って、一生ガキっぽさが抜けなくてもいいかなと思ったりします。でも、僕も現場で思いましたけど、年下の方が一生懸命働いている姿を見ると、ほっこりしますね。僕もそのくらいの頃に頑張って舞台とかでお仕事させていただいているときに、先輩たちから「あいつ頑張ってるな」って目で見られてたんだろうなという感情になりました。
武田:僕はさらにほっこりして見てるよ(笑)。今回も初めての助監督の方がいらっしゃったり、衣装部のスタイリストさんが初めての方だったりして、そういう人たちとみんなで一緒に作品を作ってるということにすごく新鮮な気持ちになったり、自分が初めて現場に入ったときのことを思い出しながらやったりしてましたね。
木村:でも僕、意地悪したくなっちゃうんですよ(笑)
武田:出たよ(笑)
木村:撮影で豆板醤とか、いろんな“醤”を使う料理が出てくる日があったんです。ヘアメイクさんに「今日は中華風な髪型にしてほしい」って言ってやってもらって、1日中それで過ごしてもらったり(笑)
武田:巻いてもらってかわいかったよね。
木村:でも、その日の現場はめっちゃ巻いたんですよ!
武田:現場が巻くのと、髪の毛巻くのは全然関係ないから(笑)
――今回演じられるのは、それぞれ29歳、39歳と、次の年代に上がる前のステップの年齢だと思います。
木村:僕は19歳のときから早く30代になりたいと思っている人間だったので。子供って言われるのが嫌で、言い方悪いですけど、「おまえらよりしっかりしてるぜ!」って思っていたんですよね。でも、実際に年が上がると、あのときに戻りたいとも思います。何の根拠もない自信というものが今よりもめちゃくちゃあったから、もっと無邪気に挑戦できたし、果敢に攻めていけたしと考えると、ちょっと奥手になってきているのかなと思います。
武田:いやいや、全然奥手じゃないから大丈夫ですよ(笑)。でも、僕もこれから39歳、40代を迎えるというところで、野末さんが悩んでる「もう若くない」とか「若い子と同じようにできない」というところを、役を通して寄り添ってみて良かったなと思います。若い頃みたいにうまくいかないっていうコンプレックスを持ってしまうこともあると思うんですけど、野末さんがそこに立ち向かったり、外川くんが引っ張って心を開かせていく過程が今回の作品では事細かく描かれているので、年代が変わったり、チャレンジできないなんて思っている方が見たときに勇気をもらえたり、チャレンジしてみようって何か一歩踏み出すようなきっかけになると思います。