いよいよ本日12日に最終回を迎えるTBS系日曜劇場『マイファミリー』(毎週日曜21:00~)。誘拐犯が誰か――という考察が盛り上がるなか、ある側面で作品を盛り上げているのが、二宮和也演じる鳴沢温人らとやり取りをしている犯人の声だ。物語上では、犯人が機械を通して発していることになっているが、実際は声優・一龍斎貞弥が演じているという。この意図について、本作のプロデューサーを務める飯田和孝氏に聞いた。
第1話、多部未華子演じる鳴沢未知留の携帯にかかってきた“非通知設定”の着信。未知留が電話をとると「こんばんは、鳴沢未知留さん。温人さんもいるならスピーカー設定にしてください」という機械音声のような声が流れる。温人は「文字を読み上げる機械使ってるんじゃないの?」と無下に電話を切ると、続いて温人の携帯に同じく“非通知設定”で電話がかかってくる。
いぶかしげな表情を浮かべる温人は電話に出ると「こんばんは鳴沢温人さん」と先ほどと同じ電話の声が流れる。さらに電話の相手は「友果さんを誘拐しました」「警察に通報した場合は友果さんを殺します」と衝撃的な言葉を発する。
ここから続く連続誘拐事件。犯人からの電話は、すべて温人が「文字を読み上げる機械」と発言した不気味な声だった。この声、物語上は機械音声という設定だが、実際は声優の一龍斎貞弥が演じているという。
敢えて生身の人間の声を使用したことについて飯田プロデューサーは「給湯器から流れる“お風呂が沸きました”という声をやられている一龍斎さんにお願いしました」と語ると「Siriみたいな機械音声も試してみたのですが、とても規則正しい音でリズムも一定になってしまい、あまり不気味さを感じなかったんです。誘拐事件であり、温人たちはこの声によって追い込まれていくわけで、こちら側も間やイントネーションなど微妙な部分で演出をしたいと思ったんです。その意味で、声優さんにお願いした方がいいという考えになりました」と理由を説明する。
一龍斎には毎週収録に参加してもらったという。「声を聞いた人をどうやってドキッとさせるか……という部分は一龍斎さんもいろいろ考えてくださいました。演出側と間やイントネーションなど、工夫をして演じてもらって、ああいう形の声になりました」とかなりのこだわりを持って作り上げた声であることを明かすと「実際の現場では、収録した声を出して演じてもらっています」と俳優たちの恐怖や怒りに震える迫真の演技の一役を担っているという。