■『クラウディア』出演は「本当に幸せ」
2022年、大野は2本の舞台出演が決まっている。岸谷五朗と寺脇康文が主宰する演劇ユニット・地球ゴージャスによって2004年に初演され、2005年にもアンコール上演された音楽劇『クラウディア』が7月から東京・大阪で上演される。
「殺陣、ダンス、お芝居と、運動量がとにかくすごくて、体力的に今までで一番大変な舞台になるんだろうな、と。『エニシング・ゴーズ』が中止になってしまって以来、久しぶりの舞台なので、気合いが入ります。僕は俳優として、舞台を観に足を運んでいただいた皆さんに、日常の嫌なことを忘れて幸せな気持ちで帰ってもらいたい、という思いでお芝居をしています。それを全身全霊で体現できる舞台に参加させていただけるのは、本当に幸せなことです」
岸谷による“反戦三部作”の第一作となる同作を、今この時代に届けることにも特別な思いを抱いている。
「海外に出ると、ロシアの人ともウクライナの人とも会う機会があったので、元々日本にいた時よりも身近に感じますし、映画や時代劇でしか見たことのなかった戦争というものが今起きているんだと思って、複雑な気持ちになります。世の中は難しいことが多い。でも、僕にとって、そういうことを忘れられる場所が劇場なので、平和のため、愛を伝えるために、この『クラウディア』という作品を演じられたらと思います」
「ニューヨークから日本に帰ってきて、最初に『プロデューサーズ』という作品に出させていただいたのですが、『ここはなんばグランド花月なのか!?』と思うくらい、会場が笑いの渦に包まれたんです。その時、笑うことってすごく幸せなことで、こうやって日常の大変なことを忘れて楽しんでもらえるエンターテイメントに携われることも本当に幸せだなって、改めて感じられました」
「笑いは世界を救うといいますか、心の健康に繋がると思っていて、僕も悩んだ時は笑うことにたくさん救われてきました。『クラウディア』にはコメディ要素もあるので、劇場にいる間だけでも大変なことを忘れられるように、僕が皆さんのことをたくさん笑わせます(笑)」
日米両国間で活躍できる俳優になるため、来年3月に再び渡米予定だという大野。インタビューが終わると、「向こうで俳優の仕事ができるか分からないし、自分の将来がどうなるのかも正直分かりません。でも、ワクワクしていますし、きっと明るい未来が待ってるんだろうなと思います」と、少年のように屈託のない、とびきりの笑顔を見せてくれた。
大野拓朗
1988年11月14日生まれ、東京都出身。2009年、第25回ミスター立教に選出される。2010年、映画『インシテミル〜7日間のデス・ゲーム〜』で俳優デビュー。2019年12月からは俳優修業のため単身渡米。新型コロナウイルス感染拡大抑制のためロックダウン(都市封鎖)されたNYでの生活を経験した。主な出演作は、テレビ東京系ドラマ『三匹のおっさん』シリーズ、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』『西郷どん』、NHK連続テレビ小説『わろてんか』、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』など。2022年は、音楽劇『クラウディア』 Produced by 地球ゴージャス、ミュージカル『シンデレラストーリー』への出演が決まっている。