――「エンタス」のMCに挑戦されてみて、新たな化学反応を肌で感じましたか?
僕自身、初めてミュージカルの楽曲に臨む方々の歌を生で聞けるのはすごく贅沢でしたし、オーイシさんにもボイメンのお二人にも「今までミュージカルをやってみたいと思っても、なかなか挑戦できる場所がなかったので、今回こういった機会をいただけてすごくありがたかった」とおっしゃっていただけて。まさに「エンタス」という、縁が足されてクロスするような、すごくいい時間になったんじゃないかなと感じました。
――まさに、デビュー後アーティストや役者として活動されていた加藤さんご自身も、ミュージカルと出会ったことで「縁が足されてクロスした」経験をお持ちということですよね?
それは間違いないですね。というより、自分がいまこうしてミュージカル番組をやらせていただいていること自体が、本当に不思議といいますか。過去の自分が今の自分の姿を見たら、「え……!?」って驚くと思いますよ(笑)。MCどころか、もともと人と話すのも僕は大の苦手でしたから(苦笑)。いまや、自分の役者人生においてミュージカルは必要不可欠なものですし、年齢を重ねるにつれ、僕も石丸幹二さんや山口祐一郎さんがかつてやっていらしたような立ち回りの役ができるように、徐々にシフトチェンジしていく必要がある。そういった意味では、僕にもまだまだ挑戦するべきことがたくさんあると思いますし、常に新しい自分と出会える楽しさが一生続くと思ったら、この仕事は本当にやめられないですよね。現在公演中のミュージカル『るろうに剣心 京都編』でも「はじめまして」の方もいますし。これからどんな出会いが待ってるんだろうというワクワクは、すごくありますね。
――だからこそ「縁が足されてクロスする」=「エンタス」なわけですね(笑)。
はい。僕にとっても「人との縁」は切っても切り離せないものであり、縁を広げるのも断ち切るのも、結局は自分次第だと思うんです。身近にいる人たちを大切にするという気持ちが、また次の縁にもつながると思うので。昔の自分は本当に他人に興味がなくて、自分ひとりで生きて行くんだと考えてたんです。でも人は人である以上、人と関わらない限り生きていけないし、そのためにはまず自分から心を開ける人間でいなければならないと感じたんです。
――「他人にあまり興味がなかった」加藤さんが、いつしか「人との縁」を大切にするようになり、「エンタス」という名の番組のMCを担当されるまでになるとは、とても感慨深いですね。
デビューしてから丸15年が経ちますが、これまでさまざまな仕事をさせていただくなかで、どんな仕事をやるにせよ、自分ひとりでは何も出来ないんだと気づいたからだと思います。特に舞台作品やライブを作るにあたっては、まずは僕自身がどんな人間であるのか知ってもらわない限りは、周りで支えてくださる人たちも、どう支えたらいいのか、どう接すればいいのかわからないわけですよね。「自分はこういう人間なんだ」と知ってもらうためには、まずは自分の心の扉を開けないと、一緒に楽しく作品を作ることなんて出来ないよな、と。日頃から現場のスタッフさんとのコミュニケーションを密にしておけば、本番直前で何らかのトラブルが発生したとしても、伝達速度も速いし、対応がスムーズになるものなんです。
――アーティストとして、役者として、数々の生の舞台に立ってきた加藤さんならではの、説得力が感じられるエピソードですね。
昔の心を閉ざした自分のままだったとしたら、きっといまの"加藤和樹"はないと思います。「自分から心を開くことで、見えてくる世界や広がる世界もあるよ」ということを若い人たちにも伝えておきたいですね。自分だけの世界に閉じこもったままでいるのは、勿体ないと思うから。それこそ"加藤二郎(ラーメン)"を作ったりすることもそうですが(笑)、僕はもともと誰かをおもてなしするのが好きなんですよね。人が喜ぶ顔を見る瞬間が、自分の心を満たす瞬間でもあって。そうすることでお互いに満足感を得られて、それが仕事にまで繋がるとしたら、そんなに面白いことはない。今回「エンタス」をきっかけに生まれた新たな縁も、今後さらに広がっていくといいなと思います。「縁は巡り巡る」とも言いますからね。
――では改めて、番組を楽しみにしている方にメッセージを!
視聴者の方からどんな反響がいただけるのか気になりますが、アーティストのファンの方々はもちろんのこと、ミュージカルファンの皆さんにも間違いなく喜んでいただけるものになっているという確信があります。「この人がこの曲を歌うならあの曲でも聞いてみたい!」とか「この役だったら合うんじゃないかな」といったように、ミュージカルファンの方々の妄想も膨らむと思いますし、いろんな可能性を秘めている番組だと思うので。「あ、いいじゃない!」って思っていただけたら、僕としては「よし!」って感じですね(笑)。
『加藤和樹のミュージックバー「エンタス」』は、6月3日スタート。初回は17時30分スタートで出演者は、オーイシマサヨシ(ゲスト)、川久保拓司(常連客)。6月10日は19時00分スタートで出演者は、堂珍嘉邦(CHEMISTRY/ゲスト)、朝夏まなと(常連客)。17日は19時30分スタートで出演者は平松賢人(BOYS AND MEN/ゲスト)、吉原雅斗(BOYS AND MEN/ゲスト)、川久保拓司(常連客)。