主演を務める二宮とは、やや難解な関係性で対峙することになるが「アイドルとしてのキラキラした部分と、役者さんとしての二つの顔を持っている方だなと思っていましたが、どちらにも共通しているのが、飾らない自然な方だという印象があったんです」と作品に入る前の印象を述べると「実際お会いしても、本当に飾らないというか、連日の撮影で疲れていると思うのですが、いろいろな人と分け隔てなく楽しそうに話をしている姿や、私にも『おはよう』と声を掛けてくださるなど、とても穏やかな方だなと思いました」と語っていた。
始めましての人が多いなか、歌舞伎俳優の松本幸四郎とは、日本舞踊家として舞台での共演経験があった。「幸四郎さんとはほとんど一緒のシーンがないので、お会いできないかなと思っていたのですが、ちょうど撮影の入れ替わりのときに顔を合わせる機会がありました。私からご挨拶に行こうと思っていたら、幸四郎さんから来てくださって『あー悪い人だ』って(笑)。やっぱり映像の現場でお会いすると心強さもあり、新鮮さもあり……うれしかったです」。
日本舞踊家であり、女優としても活動する藤間。「私はいろいろな表現方法に興味があるんです」と切り出すと「最初は日本舞踊から始まって、舞台に出てみたいと思い、それから映像表現にも興味があって。なんかジャンルを決めて『これ』という風に一つにとどまりたくないんです」と自身のスタンスを明かす。
日本舞踊、舞台、映像……とカテゴライズすることなく“表現”という大きな括りでボーダレスに活動することが藤間の理想だという。「表現するうえで最も大切なのは、心を動かすこと。ジャンルを分けてしまって、こっちで得たことをこっちに還元しよう……というような考え方をすると、純粋じゃなくなってしまうような気がするんです」と持論を展開する。
既成概念を取り払う。その意味で目標やビジョンを考えることも苦手だという。「私は目の前にあることしか頑張れないんです。いまあるものを一生懸命にやった先に、なにか生まれるのかもしれないですけれどね」。いまは日曜劇場に全力投球だという藤間だ。
1994年8月3日生まれ、東京都出身。2017年NHK連続テレビ小説『ひよっこ』で女優デビュー。2018年に『半身』で舞台初出演にして初主演を飾る。その後、創作コミュニティ劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」に所属、舞台や映像を中心に活躍の幅を広げている。主な出演作は日本テレビ『ボイスII 110緊急指令室』、テレビ東京『僕の姉ちゃん』など。日本舞踊家としても活躍しており、紫派藤間流三代目家元・藤間紫の名も持つ。