放送尺は15分となっているが、実はきっちり秒単位まで決められていないというのが今回の大きな特徴。『ポップUP!』内での放送となるため、幅をもたせた尺が可能となった。クリエイターとしては、喜ばしいフォーマットだという。
「とてもありがたいですね。地上波のゴールデンタイムだと、尺を結構ガチガチに縛られて、余韻を切らざるをえないときが多いんです。『金魚妻』のNetflixにしても今回にしても、普段切られてしまう空気感みたいなものをちゃんとお見せできたらいいなと思って作っています」
また、ドラマ放送後の“受けトーク”が、『ポップUP!』のスタジオで展開されることにも期待。
「ダイレクトに反応が見られるというのは、うれしいですね。普段も自分の作品が放送されるとリアルタイムでエゴサーチするので、今回は見ていただいた皆さんの顔を見ながらリアクションが分かるというので、恐くもあり、楽しみでもありという感じです」
このフォーマットが実現したのは、並木監督の所属するドラマ制作の「第一制作部」と、情報番組を制作する「情報制作センター」が部署の垣根を越えたタッグを組んだことによるもの。最近フジテレビでは、ドラマ監督の中江功氏と、バラエティプロデューサーの中嶋優一氏&黒木彰一氏がタッグを組んだ『Around the Corner 曲がり角のところで』、バラエティPの五十嵐元氏とドラマPの草ヶ谷大輔氏がタッグを組んだ『生ドラ!東京は24時』など、組織をまたいだコラボの動きが活発化しているが、「それぞれの部署で、いつものルーティーンのように作品を作っている中で、ちょっと違うことをやってみたいなという精神が起きているのかもしれません」と推察する。
それを踏まえ、「今回一緒にやっている情報制作の加藤(正臣プロデューサー)とは同期で、40歳を過ぎてそろそろお互いやってきたことを合わせてみるかというような気持ちもありますし、自分に欠けている要素を発見できるかもしれないという思いもありますね」と期待を語った。
■主人公4人が見せる注目の“顔”
4週の連続の放送で、それぞれの主人公の物語を描きながら交差していく今作。禁断の愛を演じる女優たちの注目してほしい“顔”を聞いた。
「徳永えりさん(5月20日放送)は、今回初めてお仕事をさせていただきました。『恋のツキ』(テレビ東京)とか代表作をずっと見ていてすごく魅力的で、今回撮ってみても、不倫だけど恋が始まったときの顔がとってもかわいいんですよね。お家にいる奥さんのときと、1人の女性になるスイッチが入ったときの顔が全然違うので、そこは見ていただきたいと思います」
「臼田あさ美さん(5月27日放送)は、かれこれ10年くらい前からたびたびお仕事をしているんですけど、無意識にやってる顔がとてもチャーミングなんです。計算じゃなくて、天然で出ている臼田さんにしかできない顔が見られるので、そこを楽しんでいただけるといいなと思います。そして、旦那さん役のハマケン(浜野謙太)さんといるときの臼田さんもとてもいいです。良い家族なので、そこもぜひ見ていただきたいです」
「瀬戸さおりさん(6月3日放送)は『金魚妻』にも出ているのですが、また別人になっているので、そこの違いを見ていただきたいですね。不思議な面白さを持っている方なので、そこに注目していただければ」
「市川由衣さん(6月10日放送)は、今回がはじめましてでした。修羅場のシーンがあるんですけど、怒ってる感じから切ない感じまで、表現の幅をちゃんと持っている方なので、ぜひ最後の修羅場にご注目ください(笑)」
そして、今作の見どころについて、「不倫なんだけれども、ちょっとピュアなラブストーリーでもあり、ドロドロが苦手な方でもお昼に楽しんでいただけると思います。主婦の皆さんは家事でお忙しいと思うので、お昼に昔の月9を見るような感覚で気軽に楽しんでいただければ」と紹介。
また、「本当は見せてはいけないものを、ちょっとした神目線で誰かのやってしまった悪いことを目撃するような感覚になっていただけたらうれしいなと思います」と呼びかけた。
●並木道子
2002年にフジテレビジョン入社。『流れ星』で連ドラ演出デビューし、以降『それでも、生きてゆく』『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『イチケイのカラス』などを担当。映画『Bの戦場』や、Netflix『金魚妻』も手がける。