フジテレビ系情報番組『ポップUP!』(毎週月曜~金曜11:45~)内で放送されるドラマ『昼上がりのオンナたち』(毎週金曜13:30頃)。かつて、東海テレビ制作のドラマが放送され、数々の“ドロドロ愛憎劇”を生み出した時間帯で、禁断の不倫愛を描くオムニバスドラマが4週連続で登場し、放送後にFODで続きのストーリーが配信される。
チーフ演出は、これまで様々な恋愛ドラマを撮ってきた並木道子監督。不倫愛に足を踏み入れていく女性たちを描いた『金魚妻』(Netflix)も手がけているが、この“禁断の愛”という題材が人々を惹きつける理由や、昼の放送でベッドシーンを描く上での意識、そして主人公を演じる4人の女優たちの魅力などを語ってくれた――。
■お昼にベッドシーン「濃厚かつ爽やかさを」
お昼に不倫を描くという今回の企画に、「昔、東海テレビ枠でやっていた昼ドラをわりと見て育ってきたので、あの時間にドラマが流れているというのは結構日常だったんです。だから、そこにトライできるのはうれしいなと思いました」という並木監督。
ベッドシーンもあるが、「お昼の明るいうちにテレビで見せるということで、濃厚さも感じさせながらも、ちょっと爽やかに見えるような作りにしています。それはアングルや照明を含めてなんですけど、色っぽさだけではない、気持ちの面でつながっているように見える画を、どう撮ろうかというのを考えましたね」と明かした。
■「疑似体験」と「反省材料」に
『最高の離婚』(13年)、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16年)、『突然ですが、明日結婚します』(19年)など、様々な恋愛ドラマを撮ってきた中で、『金魚妻』や今作で挑んだ“不倫”という禁断の恋の題材には、どのような意識で臨んだのか。
「やってはいけないことだと思うんですけど、結婚していたとしても誰かに思いが行ってしまうというのはどうしても起こり得ることだと思うんです。それぞれの家庭の事情もありますし、みんながみんな仲の良い夫婦であることはないのだから、そこで気持ちが動いてしまうという人間の素直さみたいなものを、かわいらしく魅力的に撮れたらいいなと思っています」
その上で、視聴者が惹かれる理由を、「やっぱり皆さん、覗き見したいんじゃないですかね。それと、『不倫してみたい』『いつもと違う冒険をしてみたい』と思ってる主婦の方は、なかなかそこに一歩踏み込めないという現実があると思うんです。そこで、誰かが体験してくれて、それを見て『いいな』と思うのか、『やっぱりやめておこう』と思うのか、リアクションはそれぞれだと思うんですけど、そんな疑似体験ができるのが、ドラマの良いところだと思います」と分析。
それは、『金魚妻』への反響でも感じたそうだが、「海外の方も結構見てくださっていて、言語が分からない方からDMが届いたりして、やっぱりどこの国の方でも“禁断の愛”というものに興味を示していただけるんだなと思いました。みんなそこに願望を持ちながら、日々生きているのかなと感じています」と万国共通のようだ。
並木監督は『金魚妻』の撮影後、昨年12月に結婚。今作は、既婚者という立場で撮影に臨んだが、「自分は気をつけようと思いました(笑)」と、気を引き締めたとのこと。一方で、男性が見てもパートナーを大事にしなければと痛感させる作品になっており、「女性は女性で疑似体験していただきつつ、男性は男性で普段の私生活の反省材料にして、自分のことを省みてほしいですね(笑)」と願った。
ただし、「夫婦で一緒に見るとケンカになっちゃうかもしれないので、別々で見ていただければ」と推奨。まさに、昼ドラマの放送+FODの配信というメリットが存分に発揮される題材というわけだ。